インストラクショナルデザイン
2025.12.19
第10回人材育成事例検討会

先日、「第10回人材育成事例検討会」に参加してきました。
本会は、教授システム学(Instructional Design:ID)の視点から、教育や研修の実践事例を持ち寄り、より良い学びの在り方を検討する場です。
今回も大学教育・看護教育・企業内研修と、分野の異なる3つの事例が提示され、「良い実践をどう次のレベルへ引き上げるか」
という共通の問いが浮かび上がる、非常に示唆に富んだ時間となりました。
【事例1】
動機づけ理論に基づく授業設計が学生の学びに及ぼす影響
〜ARCSモデルを用いた救急救命学科での実践〜
熊本大学 教授システム学教育実践力開発拠点 連携研究員 大石 奨
この事例では、ARCSモデル(注意・関連性・自信・満足)を用いて授業設計を行い、学生の授業評価(VOICE)が他の授業よりも高い結果を得られたことが報告されました。
ディスカッションの焦点となったのは、「この良い授業は、発表者だからできているのか?それとも、誰が行っても再現できる形にできるのか?」という点です。
鈴木克明先生からは、「学生評価が高いということは、すでに“良い授業”ができている証拠」とした上で、次のステップとしてIDを用いて授業づくりをシステム化すること。
さらにその前段階として、発表者自身の“授業づくりの思考過程”を学生に見せることが重要ではないか、という示唆がありました。
救急救命の教科書は文字情報が多く、イメージしにくいという課題があります。それに対し、発表者はスライドや動画を丁寧に用いて授業を設計していました。この授業を通して目指す次の段階は、「この先生の授業だから理解できた」ではなく、「自分で教科書を読み、学べる学生を育てる」こと。学び方そのものを学ばせることで、他の授業にも応用でき、学習意欲や成績向上につながる。
非常にIDらしい“ステップアップ”の方向性が示された事例でした。
【事例2】
小児看護技術演習科目の授業設計
松本看護大学 看護学部 講師 芳賀 了
この事例では、実際のシラバスをもとに、各コマの授業内容と設計意図について検討が行われました。
特に印象的だったのは、グループワークを活用した疾患理解の設計です。
1グループで2疾患の「状況設定問題」を作成。それを他グループに発表・共有。
結果として、学生は自分が担当していない疾患も含め、合計12疾患分の学習経験を得られる。
限られた授業時間の中で、「どうすればより多くの臨床的経験を疑似的に積めるか」がよく考えられた設計だと感じました。
鈴木先生からは、全体として非常に良い設計であること。
さらに一歩進めるなら、学生が作成した状況設定問題へのフィードバックが重要であること。時間は有限だが、「そこに時間を使う価値はある」
そのために「何を削り、どう補うか」を考えることも設計の一部。
といったコメントがありました。
また、定期テストでは学生が作成した問題をもとに、講師が表現を少し変えて出題しているとのこと。学生にとっては「自分たちの学びが、こうして評価につながるのか」という納得感や面白さも生まれていると感じました。
【事例3】
企業内リーダー研修における要求仕様書の作成
~目標設定改定後の結果報告~
株式会社デンソー 石田 倫章
こちらは、ソフトウェア開発における「要求仕様書」をテーマにした、企業内リーダー育成研修の事例です。部長推薦で選抜された10名を対象に行われる研修ですが、
鈴木先生からは非常に本質的な問いが投げかけられました。
「その10名は、自分たちが“次世代を担う存在”であると理解した上で参加しているのか?」
もしそうであるなら、その自覚を促す仕掛け役割や期待を言語化するプロセスが、研修設計の中に明確に組み込まれている必要があるのではないか、という指摘でした。技術やスキル以前に“なぜ自分がここにいるのか”を理解すること。その重要性を改めて考えさせられる事例でした。
おわりに
毎回参加して感じることとして分野は違っても、良い実践を個人の力量に依存させず再現可能な形へと高めていくというIDの視点は、教育だけでなく、医療やリハビリの現場にも深く通じるということです。リハビリもまた、「この人だから良くなった」ではなく、「誰が関わっても、一定以上の質が担保される」ことが求められます。今回の学びを、日々の臨床やスタッフ教育、仕組みづくりにどう落とし込んでいくか。
引き続き考え、実践していきたいと思います。
【主催】
国立大学法人 熊本大学大学院 教授システム学専攻
同窓会地区活動実行委員会
【アドバイザー・コメンテーター】
武蔵野大学 響学開発センター 教授(センター長)
熊本大学 名誉教授
熊本大学大学院 社会文化科学教育部
教授システム学専攻 客員教授
熊本大学大学院 教授システム学専攻同窓会 顧問
鈴木 克明 先生


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