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2024.03.21

【理学療法士が解説】立ち上がり動作で膝・腰が痛い方は必見! 〜必ず役立つ!立ち上がり動作の改善トレーニング方法〜

リハビリZONE岐阜の後藤です。
普段、利用者さんやそのご家族の方から「家で床に座り込んでしまうとなかなか立ち上がれない」という声をよく耳にします。今回は、なぜ立ち上がりが行い辛くなってしまうのかをご説明し、立ち上がりやすくなるためのコツについて解説ます。

【理学療法士が解説】立ち上がり動作で膝・腰が痛い方は必見! 〜必ず役立つ!立ち上がり動作の改善トレーニング方法〜

日本の生活スタイル

 昨今、自宅での生活環境を整えるために、介護保険制度を利用して住宅改修が行われたり、バリアフリー住宅が推奨される流れがあります。住宅改修は主に移動空間の確保や段差の解消、手すりの取り付けなどが実施されており、これらの改修によって居住様式が和式から洋式へと徐々に変化しています。日本の場合は、居住様式の全てが洋式化されるわけではなく和洋折衷になっていることが多いかもしれません。そのため、完全にテーブルと椅子の生活というわけではなく、床に座る場面も少なからずあると思います。

【理学療法士が解説】立ち上がり動作で膝・腰が痛い方は必見! 〜必ず役立つ!立ち上がり動作の改善トレーニング方法〜
 高齢者の住宅と生活環境に関する意識調査1}において、高齢者の好ましい就寝スタイルは、「畳の上に布団」53.2%で「ベッド」と答えた45.1%とされており、半数以上の方が床に布団を敷いて寝るスタイルを好まれているということがわかります。また、家の中でくつろぐスタイルは、「畳や床に座ったり寝転んだりする」50.6%で「ソファーや椅子に座ったり寝そべったりする」41.9%となっており、多くの方が床での生活とは深い縁があるようです。

 高齢者は床の生活を好む一方、年齢とともに膝や腰の痛みで悩まれる方の割合も増えていきます。膝や腰の痛みのために、床からの立ち上がるのが徐々に辛くなってきたことを自覚されている方も多いのではないでしょうか。私たちは床からの立ち上がり動作が楽になることで、日常生活の質が向上していくのではないかと考えます。

立ち上がりパターン

 床からの立ち上がり動作は大きく3つのパターンに分類されます。

① 両手-両足を床につけた高這いを経て立ち上がるパターン
② 片膝立ちを経て立ち上がるパターン
③ しゃがんだ姿勢から立ち上がるパターン

【理学療法士が解説】立ち上がり動作で膝・腰が痛い方は必見! 〜必ず役立つ!立ち上がり動作の改善トレーニング方法〜 床からの立ち上がり動作は、小児の発達段階では、高這い→片膝立ち→しゃがみの順番で獲得していきます。一方、高齢者では発達段階とは異なり、しゃがみパターンで立ち上がる人の割合は減り、高這いパターンは増える傾向にあります。動作の一般的な難易度は、高這いパターンが最も簡単で、しゃがみパターンが最も難しいとされています。難易度の高いしゃがみパターンでの立ち上がりを行うためには下肢の筋力(太もも)、歩行能力、バランス能力が高いなど、一定の身体機能が必要であることが報告されています。

床からの立ち上がりが行いにくくなる原因

身体機能が低くなってくると、これまで当たり前にできていた「しゃがんだ状態から立ち上がる」ことが困難になってしまいます。身体機能がさらに低下してしまうと、立ち上がり自体が難しくなってしまうことも珍しくありません。特に大腿(太もも)の筋力とバランス能力が重要です。

 大腿の筋力は、殿部を上に持ち上げる時や上体を起こしていく時に必要です。また、バランス能力は高這いの手を床から離す時や重心を低い位置から高い位置に移動させる時に必要です。私自身がリハビリで動作指導をする際は、【高這いパターン】や【片膝立ちパターン】の方が上肢の支持を活用しやすく、安定性も高いためどちらかのパターンを指導しています。しゃがみパターンで立ち上がることができる患者さんは若い人に限られます。

つまり、ある程度身体機能が高い人では立ち上がり動作のパターンを気にする必要はないですが、高齢者や身体機能の低下した人では、難易度の高いしゃがみパターンを練習するのではなく、高這いや片膝立ちを選択し安全かつスムーズに立ち上がりが行えるように動作訓練や身体機能向上のトレーニングをしていく必要があります

床からの立ち上がり改善プロジェクト

 動作のポイント

 足腰の筋力やバランスだけではなく、床から立ち上がる際の身体の向きや力の入れ方などの動作のコツを押さえるとスムーズに立ち上がれることがあります。

【片膝立ちパターン】
・身体を支えるために地面と接触している面積が狭い上に、片方の下肢の筋力のみで殿部を持ち上げる必要があるため、ある程度の身体機能の高さが求められる。
・痛みが強い場合や手術後で脊柱や股関節の可動域制限がある場合に選択する手法。

【高這いパターン】
・両手を床につくため、身体を支えるために地面と接触している面積が最も広く、安定性に優れている。
・両手両足の運動により、最も重量のある殿部を持ち上げるため、他の動作パターンと比べ、筋力が弱くても実施しやすい動作。
・ただし、両手が床から離れて、体を起こしていく際にふらつきによる転倒が起こる可能性があるため、注意が必要。

 

 床からの立ち上がり手順

【理学療法士が解説】立ち上がり動作で膝・腰が痛い方は必見! 〜必ず役立つ!立ち上がり動作の改善トレーニング方法〜
ポイント

体を捻って四つ這いになり、両手を床につけたまま片膝立ちの状態になり殿部を持ち上げます。そこから片手ずつ床から手を離し立ち上がります。
手順
❶ 体を捻って四つ這いになります。
❷ 片膝を立てます。
❸ 片方の膝を立て高這いの姿勢になります。
❹ 片手を床から離し膝に手を置き、順にもう片方の手を膝の上に手を置き立ち上がっていきます。

片麻痺の方の場合(右片麻痺 ※麻痺側の支持性が不良な場合)
【理学療法士が解説】立ち上がり動作で膝・腰が痛い方は必見! 〜必ず役立つ!立ち上がり動作の改善トレーニング方法〜
手順
❶ 左手を斜め前方についた横座りの状態になります。
❷ 左手に体重を移動させ、左膝をつき腰を持ち上げます。
❸ 左手を前に出し、右下肢、左膝と左手で三角形を作り安定させます。
❹ 左上肢に体重を移動させ、左膝を徐々に伸ばしていき、体重を左下肢に移動させて腰を持ち上げます。
❺ 立ち上がった後に、右下肢を左下肢に引き寄せます。

 環境設定

床からの立ち上がりの際にバランス不良があり不安定、立ち上がれないという場合は環境を調整して安全かつスムーズに立ち上がりを行うことも重要です。床からの立ち上がり動作で最も大変なのは、
①床から手を離し2本の足で支える時
②体を起こしていき重心が高い位置に移動する時
の2つのタイミングです。

この2つのタイミングで効果的に支持物を使用できると、より安全に立ち上がることが可能になります。例えば、①では床から手を離した後に低い台やベッドに手をつき支える。②では体を起こしていく時に手すりや壁に手を置き支える。など、選択した立ち上がりパターンや家屋環境に合わせて支持物を使用することも一つの方法です。

支持物を使用することで床と接触する面積が広くなり安定性を向上するだけでなく、支えがあることで上肢の筋力で下肢の筋力をカバーすることができます。しかし、支持物自体の安定性が低いと転倒のリスクにつながってしまうので注意しましょう。また、身体機能が高いにも関わらず支持物に頼ることで日常的に体の筋力を使わなくなってしまい筋力が落ちてしまうという側面もあります。

 身体機能の向上

身体機能向上を図れる自主トレーニングについて紹介していきます。
床からの立ち上がりで重要になる、太ももの筋力訓練とバランス訓練の2つに焦点を当てて紹介していきます。

膝伸展筋力(大腿/太もも)のトレーニング

【方法】
腰に手を当てる。
お尻を後ろに突き出しながら膝を曲げ重心を落としていく。
そのままの体勢で10秒保持。
<< 回数:10回×3〜5セット >>
ポイント
膝がつま先より前に出過ぎないようにする。
体を丸くならないようにしながら前屈みになる。
ジャンプする直前の力を込めるイメージを持つ。

バランスのトレーニング

【理学療法士が解説】立ち上がり動作で膝・腰が痛い方は必見! 〜必ず役立つ!立ち上がり動作の改善トレーニング方法〜【方法】
正座の状態からお尻を上げる。
支持物に手を置き、片足ずつ浮かしてバランスをとる。
交互に片足を浮かしバランスをとる。
<< 回数:左右10回×3〜5セット >>
ポイント
目線は前方。
バランスをとる際に腰がひけないように注意する。
慣れてきたら足を浮かす時間を長くしてみる。支えなしで行ってみる。

まとめ

・調査では畳の上の布団で寝たいという方が約半数。また、家の中でのくつろぎ方は畳や床の上に座ったり寝転んだりするというスタイルが約半数である。
・床から立ち上がるパターンは3種類あり、しゃがみパターンが一番難易度が高く、高這いパターンが一番難易度が低い。
・床からの立ち上がりが困難になる一番の原因は身体機能の低下である。その中でも、膝伸展筋力(太もも)低下やバランス能力が低下すると立ち上がりが行いにくくなる。
・高這いパターンでの立ち上がり方法は一番安定性が高い。
・身体機能と家屋環境を考慮し支持物を利用することで安全かつスムーズに立ち上がることが可能。

いかがでしたか?今回は、床からの立ち上がりについて動作のポイントや動作改善につながるトレーニングを紹介いたしました。日本の伝統文化や家屋環境の関係で床や畳とは切り離した生活を送るのは不可能だと思います。そのため、床から立ち上がる機能を維持、向上させることで日常生活がより送りやすくなると思います。

人間は新生児の寝ている状態から、寝返りを打ち、四つ這いになり、物に掴まり立ち上がり、歩くという発達の段階があります。年を重ねて行くごとに段々重力に抗する力が衰退していきます。この重力に抗する力というものは、筋力であったりバランスであったり背骨の配置や支えであったりします。今回紹介したトレーニングは筋力やバランスを向上させ、立ち上がりやすさに繋げることができますので是非チャレンジしてみてください。

<参考>
東京商工会議所(編):福祉住宅環境コーディネーター検定試験2級公式テキスト2訂版東京商工会議所検定事業部検定センター,2004,p62-72.

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