脳卒中のこと
2026.04.13
脳卒中で要介護認定は何級?認定の目安と通りやすくするポイント
こんにちは!理学療法士の松田裕之です!
「脳卒中で倒れた父が、もうすぐ退院。でも、家での生活が不安…」
「介護保険の申請をしたいけど、どのくらいの等級になるんだろう?」
リハビリの現場やケアマネジャーとしての相談業務で、こういった声を本当によく耳にします。要介護認定は、その後の生活を支えるサービス利用の出発点。今回は、脳卒中後の要介護認定について、等級の目安や認定をスムーズに受けるためのポイントを、専門職の視点から詳しくお伝えします。
目次
脳卒中で要介護認定は受けられる?
まず大前提として、脳卒中を発症された方は、介護保険の要介護認定を受けることができます。介護保険は原則65歳以上が対象ですが、脳卒中(脳血管疾患)は40歳から64歳までの方が対象となる「特定疾病」に含まれています。ですから、「まだ若いから」と諦める必要は全くありません。
軽症でも対象になる理由
「麻痺は軽いし、身の回りのことは何とか自分でできるから、認定は無理だろう」と思い込んでいる方もいらっしゃいますが、それは誤解です。
例えば、高次脳機能障害によって「物忘れがひどくなった」「段取りよく家事ができなくなった」といった症状や、麻痺は軽くても「長時間歩くと疲れてしまう」「バスのステップを上がるのが怖い」といった状態も、立派な支援の対象となります。
介護保険は「病気の重さ」だけで判断するのではなく、「日常生活を送る上で、どれくらいの支援が必要か」という視点で判断されます。ですから、軽症であっても、生活上の困難があれば、まずは申請してみることが大切です。
申請は市区町村の窓口や、地域包括支援センター(65歳以上の方の総合相談窓口)で受け付けています。退院前であれば、病院のソーシャルワーカーに相談すると、退院後スムーズにサービスが使えるよう段取りを整えてくれます。
【地域包括支援センターとは】
地域包括支援センターとは、高齢者の介護・医療・保健・福祉に関する総合相談窓口として、各市区町村に設置されている機関です。介護保険の申請代行も行っています。

要支援・要介護の目安
要介護認定は、自立(非該当)、要支援1・2、要介護1〜5の8段階に分かれています。脳卒中の後遺症の程度によって、どの段階に該当するかが変わってきます。
要支援1・2の状態像
要支援は、基本的な日常生活は自分でできるものの、家事や身支度など、部分的に何らかの支援が必要な状態です。
<要支援1>
立ち上がりや歩行に不安定さが見られることがあるが、ほとんど自立している。掃除や買い物など、複雑な家事の一部に手伝いが必要。
<要支援2>
要支援1より不安定さが増し、家事全般に手伝いが必要な場面が多い。転倒予防のための手すり設置や、介護予防サービスの利用が推奨される状態です。
理学療法士の視点から見ると、この段階の方は「まだ動けるから大丈夫」と油断しがちですが、転倒リスクが潜んでいることが多いです。介護予防サービスを利用して、筋力やバランス能力を維持・向上させることが、将来の要介護状態を防ぐ鍵になります。

要介護1〜5の状態像
要介護は、日常生活の様々な場面で、継続的な介護が必要となる状態です。
<要介護1>
立ち上がりや歩行が不安定で、部分的な介助が必要。排泄や入浴にも見守りや一部介助が必要なことがある。
<要介護2>
要介護1に加え、食事や着替えにも介助が必要になることがある。爪切りや金銭管理など、身の回りのこと全般に見守りや手伝いが必要。
<要介護3>
立ち上がりや歩行が自力では困難。排泄、入浴、着替えなど、日常生活のほぼ全般にわたって介助が必要。
<要介護4>
要介護3よりさらに動作能力が低下し、介助なしでは日常生活を送ることがほぼ不可能。
<要介護5>
寝たきりの状態に近く、食事や排泄を含め、生活全般において全面的な介助が必要。
脳卒中の片麻痺の程度や、高次脳機能障害の有無によって、これらの状態像に当てはめて判断されます。
要介護認定はどうやって決まる?
「認定がどう決まるのか、ブラックボックスでよくわからない」という不安もよく聞かれます。認定は、主に「認定調査」と「主治医意見書」という2つの情報をもとに、公平に審査されます。

認定調査の流れ
申請をすると、市区町村の認定調査員が自宅や入院先の病院を訪問し、ご本人とご家族から聞き取り調査を行います。調査項目は全国共通で、身体機能や生活動作に関する74項目にわたります。
【認定調査では】
認定調査では、麻痺の有無だけでなく、「意思伝達ができるか」「記憶力に問題はないか」「感情は安定しているか」といった認知機能や精神面に関する項目も評価されます。
調査員は、ご本人の動作を実際に確認したり「普段、この動作はご自身でできますか?それとも介助が必要ですか?」といった質問をしたりします。この調査結果が、認定の一次判定の基礎データとなります。
主治医意見書の影響
認定調査と並行して、市区町村はご本人の主治医に「主治医意見書」の作成を依頼します。これには、脳卒中の診断名や後遺症の状態、リハビリテーションの必要性など、医学的な観点からの意見が記載されます。
ケアマネジャーとしての経験上、この主治医意見書は認定結果に非常に大きな影響を与えます。普段の診察時に、ご家庭での生活の様子や困っていることを具体的に主治医に伝えておくことが、実態に即した意見書を書いてもらうための重要なポイントになります。
例えば、「最近、夜中に転倒しそうになることが増えました」「一人でお風呂に入るのが怖くて、週に1回しか入れていません」といった日常の困りごとを、診察室でしっかり話しておきましょう。主治医も、在宅での生活状況を把握できていないことがあります。遠慮せず、正直に伝えることが大切ですよ。

認定が通りやすくなるポイント
適切な要介護度を得るためには、認定調査の場で、生活の実態をありのままに伝えることが何よりも重要です。そのためのポイントを2つお伝えします。
できないことを正しく伝える
認定調査の場では、ご本人が調査員の前で「頑張って」しまい、普段はできないことでも「できます」と答えてしまうことが少なくありません。しかし、それでは実態より軽い等級に判定されてしまう可能性があります。
大切なのは、「できる」か「できない」かの二択ではなく、「どのような状況・条件下であればできるのか」を具体的に伝えることです。例えば、以下のように伝えてみましょう。
● 一人で歩けますが、壁を伝わないとふらついて転びそうです
● 時間はかかりますが、右手でスプーンを持って食事はできます。でも、おかずを細かくするのは難しいです
● 日中は一人でトイレに行けますが、夜中に起きたときは眠気でふらつき、介助が必要です
このように、できないこと、不安なこと、助けが必要なことを正直に、具体的に伝える勇気が、適切なサービス利用への第一歩です。

家族が同席した方がよい理由
認定調査には、ぜひご家族も同席してください。ご本人は、遠慮やプライドから、自分の困難を過小に話してしまう傾向があります。普段の生活を一番よく知るご家族が同席することで、ご本人の発言を補足し、客観的な情報を調査員に伝えることができます。
介護福祉士として多くのご家庭を見てきましたが、
「本人はああ言っていますが、実際はお風呂掃除は難しく、私がやっています」
「夜中に何度もトイレに起きるので、そのたびに付き添っています」
などといったご家族からの情報は、認定において非常に価値があります。事前に困っていることをメモにまとめておくと、伝え漏れが防げるのでおすすめですよ。
想定より低い認定だった場合の対応
万が一、想定していたよりも低い認定結果が出た場合でも、がっかりする必要はありません。対応策はあります。
区分変更申請とは
認定結果に納得がいかない場合や、認定後に心身の状態が悪化した場合には、「区分変更申請」を行うことができます。これは、要介護度を見直してもらうための再申請です。申請のタイミングに決まりはなく、いつでも行うことができます。担当のケアマネジャーに相談すれば、手続きを代行してくれますよ。
再申請のタイミング
区分変更申請を検討すべきタイミングはいくつかあります。以下のような場合には区分変更申請を出してみてもいいかもしれません。
【再申請を検討する時期】
● 退院直後に申請し、実態より軽い認定が出た場合
:入院中は身の回りのことを看護師にやってもらうため、在宅での困難さが反映されにくいことがあります。在宅生活が始まってから、「やはり大変だ」と感じた時点が再申請のタイミングです。
● 病状が悪化した場合
:脳卒中の再発や、他の病気を併発して状態が変わった場合は、速やかに申請しましょう。
● 認定の有効期間が切れる前
:更新申請の際に、現状を改めて伝えることで、等級が見直されることもあります。

要介護認定は、一度決まったら終わりではありません。ご本人の状態に合わせて、柔軟に見直していくことができます。一人で抱え込まず、まずは担当のケアマネジャーや地域包括支援センターに相談してみてください。きっと、道は開けますよ。
また、認定結果に不服がある場合は「審査請求(不服申立て)」という制度もあります。認定結果の通知を受けてから3ヶ月以内に、都道府県の介護保険審査会に申し立てることができます。ただし、区分変更申請の方が手続きが簡単で、結果も早く出ることが多いため、まずは区分変更申請を試みるのが現実的な選択肢です。
脳卒中後の生活は、ご本人にとっても、介護するご家族にとっても、大きな変化の連続です。しかし、要介護認定という制度を正しく活用することで、在宅生活を支える多くのサービスへのアクセスが開かれます。「制度のことがよくわからない」「何から始めればいいかわからない」という方も、一人で悩まずに、ぜひ専門職に声をかけてみてください。私たちリハビリZONE岐阜でも、いつでもご相談をお待ちしています。

リハビリZONE岐阜では、『今よりもっと楽しい未来へ』を合言葉に、最先端の機器と専門的な技術・知識を駆使してあなたの回復を最大限サポートいたします。
リハビリは 「できることを増やし、次の目標に向かう挑戦の連続」 でもあります。私たちは、利用者様が 「もう変わらない」「限界かな」 と諦めるのではなく、「もっと良くなる」 という前向きな気持ちでリハビリに取り組めるよう、全力でサポートしていきます。
是非一度、体験リハビリを受けてみてください!スタッフ一同心よりお待ちしております。
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