リハビリのこと
2026.01.15
冬の脳卒中リハビリ 〜自宅でできる身体ケアと「貯筋」のすすめ〜
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冬の厳しい寒さは、私たちの体にさまざまな影響を与えます。
特に脳卒中を経験された方にとっては、筋肉の緊張が強まったり、血圧が変動しやすくなったりと、リハビリを進める上で注意が必要な季節です。
「寒くて体がこわばって動きにくい」
「外出が億劫になって、リハビリのやる気が起きない」
私がリハビリの現場で冬場によく耳にするお悩みです。しかし、ご安心ください。冬の過ごし方一つで、体の状態を維持し、春に向けてより良いコンディションを作ることが可能です!冬は活動が減るからこそ、効率的に体をケアし、春に大きく飛躍するための絶好の「準備期間」にできるのです。
今回の記事では、冬の寒さが脳卒中後の身体に与える影響を解説し、ご自宅でできる具体的な寒さ対策、日常生活での工夫、そして筋力低下を防ぐための「貯筋」の考え方まで、幅広くご紹介します。ご本人様はもちろん、サポートされるご家族様にも役立つ内容となっていますので、ぜひ最後までご覧ください。
目次
なぜ冬は特に注意が必要?寒さが身体に与える3つの影響
冬は他の季節に比べて、脳卒中後の身体にとって特に配慮が必要な時期です。その理由を3つのポイントから解説します。

① 筋肉の過緊張「痙縮(けいしゅく)」の悪化
脳卒中の後遺症の一つに、筋肉が自分の意思とは関係なく過剰に緊張してしまう「痙縮」という症状があります。寒い冬は、この痙縮が悪化しやすい季節です。
寒さを感じると、私たちの体は熱を逃がさないように自然と血管を収縮させ、筋肉を硬くして身を縮こませます。この反応が、麻痺側の手足の緊張をさらに高めてしまうのです。
「爪が食い込むほど手を強く握り込んでしまう」
「足が突っ張って歩きにくい」
といった症状が、冬場に特に強く現れることがあります。リハビリを行う前には、麻痺している手足や体を十分に温め、筋肉の緊張を和らげてから始めることが、怪我の予防とリハビリ効果の向上のために非常に重要です。
② 血圧変動と「ヒートショック」のリスク
冬場は血圧が変動しやすくなります。暖かい室内から寒い屋外へ移動する際だけでなく、家の中でも「暖かいリビングから寒い脱衣所やトイレへ」といった急激な温度変化が血圧の乱高下を引き起こします。
これが「ヒートショック」です。ヒートショックは、心臓や血管に大きな負担をかけ、脳卒中の再発リスクを高める危険な状態です。特に注意が必要なのが入浴時です。
暖かい居間→寒い脱衣所→寒い洗い場→熱い湯船
という一連の流れは、まさにヒートショックの温床と言えます。事前の対策が命を守ることに繋がります。

③ 活動量低下による「冬ごもり」と心身への影響
寒さや路面の凍結などを理由に、冬は外出の機会が減りがちです。いわゆる「冬ごもり」の状態が続くと、身体を動かす時間が短くなり、筋力や体力が低下してしまいます。特に、脳卒中後は意識的に体を動かさないと、筋力はあっという間に落ちてしまいます。
また、家に閉じこもりがちになることで、人との交流が減り、気分が落ち込むなど、精神的な健康にも影響を及ぼす可能性があります。身体機能だけでなく、リハビリへの意欲を維持するためにも、冬場の活動量をどう確保するかが大きな課題となります。
冬の基本セルフケアとリハビリのコツ
冬の厳しい環境から身体を守り、リハビリを効果的に進めるための具体的なセルフケア方法をご紹介します。少しの工夫で、冬のリスクを減らし、快適に過ごすことができます。
室内環境のポイント
室温は「20℃以上」をキープ
まず基本となるのが、生活空間の温度管理です。寒さによる筋肉の緊張(痙縮)を防ぐためにも、室内の温度は常に「20℃以上」に保つことを心がけましょう。特に、リビングだけでなく、トイレや脱衣所、廊下など、移動する空間との温度差を少なくすることが重要です。小型のヒーターなどを活用して、家全体の温度を均一に保つ工夫をしましょう。
また、リハビリを始める前には、カイロや温かいタオル、ひざ掛けなどで麻痺側の手足を重点的に温め、筋肉の緊張をほぐしてから行うと、より安全で効果的です。

命を守る入浴術
ヒートショックを防ぐ“入る前”の一手間
ヒートショック対策として、入浴前の準備が欠かせません。まず、入浴前に脱衣所と浴室を暖めておきましょう。脱衣所には小型の暖房器具を置き、浴室はシャワーでお湯を数分間出すだけでも温度が上がります。「入る前に暖める」という一手間が、身体への負担を大きく軽減します。
お湯の温度は熱すぎない40℃前後に設定し、長湯は避けるようにしましょう。また、入浴後は湯冷めしないように、すぐに体を拭いて暖かい服を着ることも大切です。
冬でもできる「貯筋」のススメ
活動量が減りがちな冬こそ、意識的に筋力を維持する「貯筋(ちょきん)」が重要になります。大掛かりな運動をする必要はありません。日常生活の中で、「麻痺側の足に意識的に体重を乗せる」ことを繰り返すだけでも、立派なリハビリになります。
例えば、、、
● 歯磨きをしている時に、少しだけ麻痺側の足に体重をかけてみる。
● キッチンで立っている時に、数秒間、麻痺側の足で支える意識を持つ。
● 椅子から立ち上がる際に、ゆっくりと麻痺側の足にも力を入れる。
目標は1回3秒でもOK。大切なのは「意識する回数」を増やすことです。こうした小さな積み重ねが、冬場の筋力低下を防ぎ、春からの活動的な生活へと繋がっていきます。
冬の外気浴で心も元気に
寒いからといって完全に屋内に閉じこもってしまうのは、心身の健康にとってあまり良くありません。天気の良い日には、万全の防寒対策をして、「5分でも良いので外の空気に触れる」ことをお勧めします。
日光を浴びることで、気分がリフレッシュされるだけでなく、体内でビタミンDが生成され、骨を丈夫にする効果も期待できます。ベランダや庭先に出るだけでも十分です。無理のない範囲で外気浴を取り入れ、心にも栄養を与えましょう。
日常生活を改善する冬の工夫
冬特有の服装や生活スタイルが、脳卒中後の方にとっては新たな課題となることがあります。ここでは、具体的な日常生活の場面での工夫をご紹介します。

夜間トイレの転倒予防
「ひと呼吸」の習慣
冬は夜間にトイレに行く回数が増える傾向があります。寝起きでぼんやりした状態での移動は、転倒のリスクが非常に高いです。
夜中にトイレに行きたくなったら、まず「ベッドで一旦座り、深呼吸をして感覚を確認する」というステップを踏むことを強く推奨します。急に立ち上がらず、一呼吸おくことで、血圧の急な変動(立ちくらみ)を防ぎ、頭と体を覚醒させることができます。足元を照らすセンサーライトなどを設置することも、安全対策として非常に有効です。
こたつ時間もリハビリに活かす姿勢
冬の団らんの象徴であるこたつですが、床に座る姿勢は骨盤が後ろに倒れやすく、猫背になりがちです。この悪い姿勢は、体のバランス能力を低下させる一因となります。
こたつで過ごす際は、「クッションや座椅子を活用して骨盤を立てる」工夫をしましょう。お尻の後ろ半分にクッションを敷くだけでも、骨盤が立ちやすくなります。良い姿勢を保つことは、体幹を安定させ、立ち上がりや歩行といった次の動作への準備にもなります。リラックスタイムも、少しの意識でリハビリの時間に変えることができるのです。
まとめ
今回のポイントを振り返ってみましょう。
①温度管理を徹底する
:室温は20℃以上を保ち、家の中の温度差をなくしましょう。ヒートショックは予防が何より大切です。
②「貯筋」を意識する
:活動量が減る冬こそ、日常生活の中で麻痺側に体重を乗せる意識を持ち、筋力低下を防ぎましょう。
③小さな工夫を取り入れる
:着替えの順番や夜間トイレでの一呼吸など、少しの工夫が冬の生活を安全で快適にします。
冬はリハビリが滞りがちな季節と思われがちですが、決してそんなことはありません。
まずは今日から、歯磨きの時に3秒だけ、麻痺側の足に体重を乗せてみることから始めてみませんか?その小さな一歩が、あなたの体を守り、春への大きな力になります。
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