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2025.04.24

脳卒中後リハビリに有効!?HAL®︎単関節タイプについて詳しく解説

脳卒中後リハビリに有効!?HAL®︎単関節タイプについて詳しく解説近年、医療・介護分野で注目を集めているロボット技術の一つが、HAL®(Hybrid Assistive Limb)です。これは、サイバーダイン株式会社によって開発された装着型サイボーグで、使用者の意思に基づいた動作を支援するという画期的な機能を備えています。

特に、脳血管障害脊髄損傷神経難病などによって運動機能に障害を抱えた方々に対して、HAL®を活用したリハビリテーション(サイバニクス治療)は、従来のリハビリでは得られにくかった神経・筋機能の再学習を促進する効果が期待されています。

本記事では、HAL®を活用したリハビリの基本原理とその臨床的な意義、さらに実際の運用事例について、専門的な視点から解説していきます。

HAL®︎とは?

HAL®は、身体の動きをサポートするためのロボット技術です。主に医療やリハビリテーションの分野で使われ、筋電図を利用して、筋肉の動きに合わせてアシストします。これにより、脳、神経、筋系の機能低下で身体を思うように動かせなくなった方の機能改善治療を行う世界初の装着型サイボーグです。

脳卒中後リハビリに有効!?HAL®︎単関節タイプについて詳しく解説

簡単に言うと、HAL®は人間の体の動きに合わせてロボットがサポートする「サイボーグ型の助ける技術」です。2025年4月現在では、HAL®︎が保険適応となる疾患は限られていますが、保険外であれば様々な疾患に対して利用が可能です。そのため、最近では保険外でのリハビリを行う自費リハビリ施設などでHAL®を導入している施設などがあり、おもに脳卒中後のリハビリなどで活用されています。

HAL®︎単関節タイプの特徴

HAL®単関節タイプは、主に関節の動きを補助するためのロボットアシスト機器です。このタイプは、特定の関節に集中してサポートを提供するため、他の部位の動きに比べて、より精密で効率的な動作支援が可能となります。

たとえば、肘の単関節タイプは肘関節の屈伸動作をサポートします。装着している方の動作にあわせてHAL®が筋電位を感知し、その信号を基にロボットアームが補助的に動きます。これにより、身体にかかる負担を軽減しながら関節を動かす訓練が可能となり、リハビリの効果を高めることができます。

脳卒中後リハビリに有効!?HAL®︎単関節タイプについて詳しく解説
片麻痺の場合、麻痺している方の四肢を麻痺していない側と同じように動かすことが難しいため、単関節タイプのHAL®︎が有用です。麻痺している側の関節を動かそうとする際に補助を行うことで麻痺している部位の動きを助けます。

HAL®︎は比較的軽量で持ち運びが可能なため、訪問先での活用も可能であり、移動が困難な方にも訪問リハビリを行なってベッド上で使用することができます。HAL®︎単関節タイプは2020年に厚生労働省から「運動量増加機器」として保険適用の通知が発出されました。これにより、医療機関が本機器を使用したリハビリを提供した場合、運動量増加機器加算として保険適用が可能となっています。

ただし、具体的な適用条件や自己負担額は医療機関によって異なるため、詳細については各医療機関へ問い合わせることが推奨されます。

HAL®︎の対象

リハビリテーションにおけるHAL®は、ロボットスーツを使って患者の運動機能をサポートする技術です。HAL®は、特に以下のような疾患や状態に対して利用されています。

脳梗塞・脳出血後のリハビリに革命!? 世界初の装着型サイボーグ 「HAL®」とは?

脳卒中(脳血管障害)

脳卒中後のリハビリテーションにおいて、HAL®は運動機能の回復を支援するために使われます。特に、運動麻痺が残る患者に対して、歩行機能や上肢の動作を補助します。

脊髄損傷

脊髄損傷を負った患者にもHAL®は有効です。HAL®を用いることで、失われた運動機能を補い、歩行や立位の回復を助けます。

パーキンソン病

パーキンソン病の患者においても、筋力やバランスを改善するためにHAL®が活用されることがあります。特に、歩行や動作の制限がある場合に、HAL®の支援が効果的です。

変形性膝関節症

膝関節に問題を抱えている患者にもHAL®は使用され、膝の負担を軽減しつつ、歩行や立ち上がりをサポートします。

これらの疾患において、HAL®は患者の自主的な運動を促進し、リハビリの効果を高めることができます。運動機能の回復をサポートするだけでなく、患者の生活の質を向上させる役割を果たしています。

HAL®︎の保険適応

HAL®は世界で初めて医療保険の適応が認められたロボット治療機器であり、日本では緩徐進行性の神経・筋疾患の8つの病気のみで保険適応が承認されています。

<HAL®が保険適応となる8つの疾患>
・筋萎縮性側索硬化症
・筋ジストロフィー
・脊髄性筋萎縮症
・球脊髄性筋萎縮症
・封入体筋炎
・先天性ミオパチー
・遠位性ミオパチー
・シャルコー・マリー・トゥース病

ガイドラインの推奨度A〜Eとは?一般社団法人 日本脳卒中学会が監修している脳卒中治療ガイドライン2021[改訂2023]というものがあります。このガイドラインですが、多くの論文や研究データをもとに最新のエビデンスを反映させた治療指針です。様々な治療に対し、
A:【強い推奨】行うよう勧められる
B:【中等度の推奨】行うことは妥当である
C:【弱い推奨】考慮しても良い、有効性が確立していない
D:【利益がない】勧められない、有効ではない
E:【有害】行わないように勧められる、行うべきではない

という5つの推奨グレードに分類しております。その中でも、ロボットを用いたリハビリは推奨度Bとされており、その妥当性が認められています。

しかし、HAL®を導入している病院は全国で8.4%と1割に満たない状況にあります。(株式会社グローバルヘルスコンサルティング・ジャパン レポート2022年6月13日)これには、リハビリロボット活用による病院への報酬要件と、リハビリ現場での使用実態にズレが生じていることが普及を阻んでいる可能性があります。

一方、自費リハビリ施設では、脳卒中後の片麻痺症状を呈した方に有効である点、リハビリの時間を十分に確保できる点から、HAL®を導入している施設が増え始めています。

脳卒中後リハビリに有効!?HAL®︎単関節タイプについて詳しく解説

HALを利用するための費用

HAL®︎単関節タイプを使用するための費用は、保険適用の有無や医療機関によって異なります。HAL®︎が保険適応となる疾患は限られているため、多くの場合は自費リハビリ施設などで使用することになります。

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保険適用がある場合
:自己負担額は3割負担(高額療養費制度の適用もあり得る)

自費診療の場合
:1回のリハビリセッション(約60分)で1万〜2万円程度(HAL®︎の使用料だけでなく、リハビリ自体の価格も含む)

といった金額が目安となります。詳しくは、HALを導入している医療機関に直接問い合わせることをおすすめします。

HAL®︎を使ったリハビリの流れ

HAL®︎単関節タイプを用いたリハビリテーションは、以下のような流れで進められます。

評価・診断
:医師や理学療法士が患者の状態を評価し、HALの適用可能性を判断します。

センサー装着
:生体電位信号を検出するためのセンサーを皮膚に貼り付けます。

リハビリ実施
:HALを装着した状態で関節運動を行い、装置が動作を補助します。

動作フィードバック
:使用者が動かした感覚を得ることで、脳と筋肉の連携を強化します。

継続的なトレーニング
:定期的な使用を通じて、徐々に機能回復を目指します。

脳卒中後リハビリに有効!?HAL®︎単関節タイプについて詳しく解説

HAL®︎を使用するメリット

HAL®は、センサーを用いて脳からの信号や筋肉の動きを読み取り、適切な動きをサポートすることで、身体機能の回復を促進します。以下に、HAL®の具体的な効果について詳しく説明します。

神経筋機能の強化と回復

HAL®は、脳の信号や筋肉の活動を直接感知し、それに基づいて身体の動きを補助します。この技術は、特に脳卒中や脊髄損傷後の患者に対して非常に効果的です。神経系が再び適切に機能する過程で、HAL®は神経可塑性(神経回路の再編成)を促進します。これにより、損傷した神経経路の回復や、脳の異なる領域を活性化することができます。

● 神経可塑性の促進
脳卒中や脊髄損傷後、神経回路の修復が遅れることがありますが、HAL®は筋肉の動きを助けることで脳が新たな神経回路を形成する手助けをします。

● 運動神経の再活性化
患者がHAL®を使用することで、筋肉の運動が活性化され、運動神経の再活性化を促進します。

運動機能の改善

HAL®は、筋力が低下した患者や麻痺している患者の運動機能をサポートします。リハビリの過程で、患者が自分の意志で動きを制御する感覚を維持しつつ、HAL®が補助的な役割を果たします。この相乗効果により、関節の可動域や筋力が改善されます。

● 筋力の強化
特に運動機能が低下している患者にとって、HAL®の補助により筋力が強化され、リハビリが効率的に進行します。

● 自発的運動の促進
HAL®を使用することで、筋肉の動きがサポートされ、患者が自分の意思で動きを行いやすくなります。

早期回復の促進

HAL®は、リハビリ中に体への負担を軽減し、早期の回復をサポートします。特に急性期の患者や回復期の患者にとって、身体にかかるストレスを減らしながらも、リハビリを継続できる点が重要です。
● 疲労軽減
HAL®は身体の負担を軽減し、筋肉にかかる過度なストレスを防ぎます。これにより、患者がより長時間リハビリを行えるようになります。

● 機能回復のスピードアップ
HAL®のサポートにより、患者はより効率的にリハビリを進めることができ、回復のペースが速くなる可能性があります。

脳卒中後リハビリに有効!?HAL®︎単関節タイプについて詳しく解説

歩行能力の回復

特に歩行に支障がある患者にとって、HAL®はその歩行能力を向上させる効果があります。HAL®は、歩行の際に必要な筋力や運動パターンを補助し、患者がより自然な歩行動作を行えるようサポートします。

● 歩行の改善
HAL®は患者の歩行に必要な動きを補助し、特に脳卒中後や脊髄損傷後の患者において歩行の再学習を促進します。

● 筋肉と神経の再学習
歩行の動作をサポートすることで、筋肉と神経が再び協調して働くことを助け、歩行能力の回復を促進します。

痛みの軽減

リハビリ中に感じる痛みや筋肉の疲労感を軽減するため、HAL®は運動を補助し、患者が動作を行う際の痛みや不快感を軽減します。また、HAL®の支援により患者がより自信を持ってリハビリに取り組むことができ、精神的なストレスも軽減されます。
● 筋肉の負担軽減
HAL®は体の各部位を補助し、筋肉にかかる過度の負担を減らします。これにより、リハビリ時の痛みを軽減します。

脳卒中後のリハビリにおけるHAL®の活用

歩行訓練の支援

歩行は脳卒中後に回復が難しい動作の一つです。特に片麻痺を患っている患者は、片側の足の動きが不自由になり、歩行が困難になります。HAL®を使用することで、患者の足の動きが補助され、歩行の再学習をサポートします。

HAL®が筋電図を基に足の動きを補助し、患者が意図した動作を実現できるよう支援します。これにより、麻痺している部分も動かすことができ、歩行の自然さを取り戻すことができます。また、HAL®着脱後に歩行訓練を繰り返すことによって、神経回路が再構築され、運動機能が回復することが期待されます。

立ち上がり動作の支援

立ち上がる動作も脳卒中後に非常に難しくなることがあります。特に、座った状態から立ち上がる際に筋力が不足しているため、非麻痺側への荷重比率が多くなり偏った動作になってしまうことが多いです。座位から立位へHAL®が立ち上がりの動作をサポートすることで、患者が自分で立ち上がることができる感覚を取り戻します。この支援によって、立ち上がる能力が回復し、日常生活での自立が進みます。

上肢のリハビリ

上肢の麻痺も脳卒中後に多く見られます。手や腕の動作を回復させるために、HAL®は上肢の動きを補助する役割を果たします。HAL®を使ったリハビリでは、手を動かすための筋力を補助し、患者が手を動かす感覚を再学習することができます。これにより、日常生活での手の使い方を取り戻すことができます。

HAL®を使った改善事例のご紹介

Case.1

70代女性 (脳卒中後遺症)

▶︎ お悩み
:歩行時に麻痺側の脚が棒状になり、足が地面に引っかかって転びそうになる。

▶︎ リハ内容
:HAL®単関節タイプ(膝)を装着し、臥位、座位での膝の曲げ伸ばしを繰り返し行なった。

▶︎ 改善内容
:歩行時に麻痺側下肢の筋緊張が抑制され、歩行中における膝の曲げ伸ばしがスムーズになり、足部が地面に引っかかることが改善された。

▶︎ 患者様の声
:躓くことがなくなり、スーパーへの買い物も安心して行けるようになった!

脳卒中後リハビリに有効!?HAL®︎単関節タイプについて詳しく解説

Case.2

60代女性 (脳卒中後遺症)

▶︎ お悩み
:麻痺側の手が動かしにづらく、包丁を握りにくいため、硬い野菜を切れない。

▶︎ リハ内容
:HAL®単関節タイプ(肘)を装着し、臥位、立位での肘の曲げ伸ばしを繰り返し行なった。

▶︎ 改善内容
:上肢の痙縮が軽減され、肘を伸ばす可動域が改善した。また、肘を伸ばす筋力が向上した。

▶︎ 患者様の声
:肘が伸びた位置で力が入りやすくなり、包丁で大根や人参を切ることができた!

脳卒中後リハビリに有効!?HAL®︎単関節タイプについて詳しく解説

まとめ

HAL®を使用してリハビリを進めることで歩行や立ち上がり、食事、家事、階段昇降など、患者が自立して日常生活を送るためのサポートが大きく進みます。リハビリを通じて、HAL®が提供する運動機能の補助が、神経回路の回復を促進し、患者自身の筋力や動作の向上に繋がっています。これにより、患者はより自立した生活を取り戻すことが可能となり、生活の質が大きく向上します。自費リハビリ施設では、HAL®を積極的に活用しながらリハビリを行うことも可能です。実際にHAL®がどのようなものか体験することも可能ですので一度試してみてはいかがでしょうか。

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