脳卒中のこと
2024.04.20
【理学療法士が解説】 脳卒中後の健康管理のポイント 〜健康な未来を築くための道~
こんにちは、リハビリZONE岐阜の理学療法士、松田です。今回は脳卒中を発症した後でも健康的な未来や理想とする生活を実現するために、「日常生活で気を付けたいポイント」を分かりやすくお伝えします。ご本人だけでなく、ご家族様も一緒に病状について理解を深め、日常生活で抱えるお悩みを解決することで「理想の生活」に向かって少しずつ前進していきましょう!
「脳卒中」知っておきたい病状と日常生活への影響
脳卒中は脳内の血管に何らかの異常が起き、脳組織が障害を受ける病気です。脳の血管が詰まる脳梗塞、脳の血管が破れてしまい脳の中で出血が起こる脳出血という病名が知られています。前回の記事では、「脳卒中」という病気について、特徴的な症状の解説に加えて、発症期間とリハビリテーションには密接な関係性があるという点をお伝えしました。
(参考)前回の記事⇓
【理学療法士が解説】こんなお悩みありませんか? 「脳卒中」 ~発症から期間が経っていてもリハビリは効果的?~
脳卒中を発症後にどのような症状や後遺症が現れるかは、脳血管の損傷を受けた部位によって異なるため、個人差があります。これらの症状が組み合わさり、今までは当たり前だった日常生活に支障が出てしまい、趣味や仕事、家事を行えなくなることがあるのです。
脳卒中後の主な症状と日常生活に現れるお悩み
・運動麻痺「上肢・手」
⇒箸を使う、文字を書く等の手先を使った細かい動作が行えない。
⇒上肢全体の症状が出現する場合には手が思うように上がらず、洗顔や洗髪がスムーズに行えない。
・運動麻痺「下肢・足」
⇒何かにつかまらないと真っすぐに立つことが出来ない。上手く歩けず転倒してしまう。
⇒症状が重いとベッドから起き上がる、寝返りを打つ、一人で座ることが困難になることも。
・思うように力が入らない
⇒頭の中では動こうと考えているのに、動き出しや歩き出しに時間がかかってしまう。
⇒人と歩いている時に付いていけずに遅れてしまう。横断歩道を青信号で渡り切れない。
・感覚が鈍くなる「感覚障害」
(しびれ、触った感覚が鈍い、痛い 等)
⇒知らないうちに鍋やストーブに触れてしまいやけどしてしまう。
⇒何も触れていないのにしびれ・痛みを感じる。
・意識や頭がすっきりしない「意識障害」
⇒頭がボーッとして、考えるのが億劫になる。
⇒大事な場面で考えがまとまらず焦ってしまう。
・食べ物の飲み込みが難しくなる「嚥下障害」
⇒むせ込んでしまうため、誤嚥性肺炎のリスクとなる。
⇒上手く嚙む事が出来ないため、食材を小さく切る等のひと手間が必要となる。
・言葉が話しづらくなる「構音障害」
⇒頭ではイメージできるのに言葉として話せない。
⇒思い通りに伝える事が出来ないため、人と会話したり人前に出るのが億劫になってしまう。
・注意力や集中力が低下する「高次脳機能障害」
⇒病気の発症を機に物忘れが多くなってしまう。
⇒周囲の環境に対する注意力が落ちてしまい、身体をぶつけたりつまずきやすくなる。
・血圧変動や便秘などの「自律神経障害」
⇒季節を問わず体温調整が難しく体調を崩しやすい。
⇒便秘が増える又は軟便が続くなどの胃腸障害が頻発する。
・精神面の症状「感情失禁」
⇒感情が抑えきれず涙が出てしまう。
⇒気持ちが沈みがちとなるうつ症状や不安症状。
「理学療法士」が考える予防の視点
脳卒中は脳に血液が供給されなくなることで起こります。その原因は様々で、高血圧や高コレステロール、糖尿病などがリスクを増加させます。基本的な事ではありますが、まず、これらの生活習慣病の予防が脳卒中の予防に繋がります。
正常な血圧値やコレステロール値、血糖値の維持は脳卒中のリスクを低減させます。適切な食事と運動を組み合わせることで、健康的な生活リズムで毎日を過ごすことができ、脳卒中をはじめ様々な病気や怪我の予防に対して非常に効果的です。定期的な健康診断やかかりつけ医の先生との相談も欠かせません。
また、デイサービスやデイケア等のリハビリテーション施設に通所されている場合は、リハビリ専門職(理学療法士・作業療法士・言語聴覚士)に身体機能面で気になる点を相談できると日常生活の目標が明確となり、習慣化や実践に繋がりやすく運動のモチベーションが維持しやすいです。
昨今は理学療法士が地域包括支援センターをはじめ行政機関と協力して、地域の公共施設で体操教室や健康に関する講演を行う機会が増えています。皆様のお近くの公共施設で開催されているケースもありますので、その際はぜひ足を運んでみてください。デイサービスやデイケア等の介護施設によっては体験会や見学会を開催していることもあります。リハビリZONE岐阜でも体験リハビリを受け付けていますので、お気軽にお問い合わせください!
「介護福祉士」が考える改善の視点
脳卒中の後遺症を改善していくには先ほどご紹介した適切な健康管理と、早期からのリハビリテーションとして医師やリハビリ専門職との関りを持つことが重要です。リハビリ専門職と関りを持ち、生活習慣の見直しや身体機能面に対するリハビリテーションに取り組んでみましょう。運動を通して身体に変化が現れると、意欲向上や気持ちのゆとり作りにもつながりますよ。
(運動習慣に+αで実践していきたい項目)
適度な運動は身体機能面の向上のみではなく、全身の血流を改善して脳の機能をサポートしたり、自律神経を整える作用にも期待できます。ここでは、定期的な運動習慣と並行して行うことで相乗効果が期待できる現役介護スタッフがおススメするポイントをご紹介します。
・食事と栄養バランス
⇒バランスの取れた食事として、下記の3つの要素を意識してみましょう。
★エネルギーになるものとして主食 ご飯・パン・麺類=炭水化物などによるエネルギー源
★からだをつくるものとして主菜 肉・魚・卵・大豆・牛乳⇒なたんぱく質・脂質源
★からだの調子を整えるものとして副菜 野菜・いも・きのこ・海藻⇒ビタミン・ミネラル源
・ストレス管理
⇒ストレスは血圧の上昇につながり、脳卒中のリスクを増加させる可能性があるため適切なストレス管理が必要です。日頃から抱えている課題やお悩みをご家族様など身近な方々はもちろんですが、医療や介護の専門家にも気軽に相談してみましょう。
知っておきたい「福祉用具の豆知識」
介護負担について
⇒病気の発症により、今まではご自身で行えていたことが出来なくなったり、いつも以上に時間がかかってしまうことが増えることがあります。理学療法士や作業療法士が中心となって行うリハビリテーションでは、これら日常生活での課題を解決するために、様々なリハビリメニューを提供しています。
また、知っておきたい知識として「福祉用具」があります。介護保険を利用されている方々は福祉用具をレンタル又は購入することができ、高齢者や身体障害者が日常生活をより快適に、かつ自立した状態で過ごすために様々な機器や道具の提案が可能となっています。これらの用具をお身体に合わせて生活の中に取り入れることで、今までは30分かかっていた浴槽への出入り介助が、浴槽用リフトを使用することで数分かつ安全に行えるという様な、前向きな成功事例も多く耳にします。リハビリメニューや福祉用具いずれもですが、個々のニーズに合った最適な方法や用具を選ぶことが重要です。担当の理学療法士と時間をかけてお身体の状態を相談できる環境は、介護負担を軽減して在宅生活向上のリハビリテーションを進めるうえでとても重要なポイントになります。
まとめ
いかがでしたか?脳卒中を予防する視点と、発症した後に意識していきたい改善の視点からポイントをお伝えし、後半はリハビリテーションの重要性にも触れました。脳卒中をはじめとした病気の予防と、発症後に行うリハビリテーションは身体機能の改善はもちろんですが、自らの健康を向上し「理想の生活」「叶えたい希望」を達成するための方法として今なお注目を集めています。
脳卒中の後遺症では様々な症状が出現しますが、大切なのは一人では無く周囲の方々と相談しながら共に前進していくことです。リハビリZONE岐阜では皆様が笑顔で過ごせるよう、一緒に考え一緒に歩んでいきたいと考えています。何かご不明な点、ご質問などございましたら下記までお気軽にご連絡ください。皆様にお会いできる日を心よりお待ちしております。
リハビリZONE岐阜では、『リハビリで笑顔を再生!!』を合言葉に、ボイタ法による施術とHAL®︎を用いた機能訓練を中心とした自費リハビリを行っております。これまでにリハビリで思うような結果が出ず諦めていた方、現在身体のことでお悩みのある方、もっとリハビリをしたいとお考えの方など、様々なニーズにお応えするための手段を多数ご用意しております。是非一度、体験リハビリを受けてみてください!スタッフ一同心よりお待ちしております。
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