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2024.01.24

【理学療法士が解説】脳卒中後のリハビリ、発症から時間が経っていても効果はある?

【理学療法士が解説】脳卒中後のリハビリ、発症から時間が経っていても効果はある?
こんにちは、リハビリZONE岐阜の理学療法士、松田裕之です。前回の記事では、高齢化が進行する社会の中で身近に感じることが多くなった脳卒中という病気について、「後遺症やその後のリハビリにはどんな留意点やポイントがあるか」をお伝えしました。
参照リンク:【理学療法士が解説】意外と身近な病気「脳卒中」 〜後遺症と脳卒中後のリハビリを正しく知ろう〜

今回は、脳卒中の後遺症を改善するためにリハビリを考えている患者さんやそのご家族、あるいは介護の分野で活躍するスタッフの方々に向けた記事になっています。脳卒中を発症してからの期間別に、リハビリの目的や役割、具体的にどのような選択肢があるかについて掘り下げていきます。脳卒中を発症してから時間がたっている場合に、リハビリを行う意味があるのか、実際にどのようなリハビリを行えば良いのか、などについては実際の現場でも以下のようなご質問をよくいただきます。

・脳卒中の症状は理解が深まったけど、発症から1年以上経過してしまった。今からリハビリを始めても間に合うの?
・前回の記事で脳卒中の症状に合わせたリハビリが必要なのは分かったけど、もう少しリハビリについて知りたい!

リハビリは脳卒中を発症してからどれぐらいの期間有効なのか」ということに加えて、リハビリを行なっていく上でのポイントも取り入れながら解説しています。ぜひ最後までご覧になってくださいね。患者さんだけではなくそのご家族も一緒に、取り戻したい「元の生活」に少しでも近づけるように共に歩んでいきましょう!

【理学療法士が解説】脳卒中後のリハビリ、発症から時間が経っていても効果はある?

 

脳卒中発症後の経過

脳卒中は脳の血管が詰まる脳梗塞、脳の血管が破れてしまい脳の中で出血が起こる脳出血という病名で知られています。

◉ 脳梗塞
脳の動脈が血栓や塞栓で詰まり、脳内に酸素や栄養が供給されなくってしまう状態です。

脳出血
血管が破れて脳の周囲に血液が漏れ出して血管を圧迫して、脳内に酸素や栄養が供給されなくってしまう状態です。

くも膜下出血
脳の外側であるくも膜と脳の間に出血が生じている状態です。


脳卒中後遺症
の症状としては身体の片側のしびれ麻痺、言葉がうまく話せなくなる言語障害などが一般的です。脳卒中の発症から後を時期別にまとめると、以下のようになります。

急性期(発症から約2週間まで)

場所:発症時に入院した病院
脳卒中が発生してから最初の数時間は超急性期と呼ばれ、早期の医療介入が重要です。急性期の治療は脳の損傷を最小限に抑えることが目的となります。脳の損傷を最小限にとどめられると、身体機能の低下を免れる可能性があるため、基本的には発症から48時間以内に治療を開始することが望ましいとされています。この超急性期の治療が将来の生活の質や回復に大きく影響します。発症から約2週間ほどで全身の状態が安定するとリハビリに重点をおいた治療が始まるため、急性期病院から回復期病院リハビリテーション病院へ転院となることもしばしばあります。

【理学療法士が解説】脳卒中後のリハビリ、発症から時間が経っていても効果はある?

 

回復期(発症から約3-6か月まで)

場所:リハビリ専門の病院・病棟
発症後数日から数週間かけて脳の状態が徐々に安定化し、本格的にリハビリが開始となる時期です。回復期病院やリハビリテーション病院では、リハビリを集中して行うことができる環境が整っています。回復期のリハビリでは、麻痺した筋肉を動かすような機能訓練だけでなく、ベッドから一人で車椅子に乗り移る、復職の訓練を行うなど、退院後を見据えて自宅での生活を行ったり、社会復帰に向けての訓練が行われます。

生活期(発症から約6か月以降)

場所:自宅や介護施設
回復期を経て数週間から数ヶ月が経つと生活期となり、継続的なリハビリと症状の管理が重要になります。生活期のリハビリは、患者さんの自宅や施設で行われるため、回復期の段階から生活環境を整えておく必要があります。回復期までは病院内ですが、自宅や施設に移る生活期は、生活の範囲を広げることができます。ただし医療保険の制度上、急性期に行ったような集中的なリハビリを生活期に行うことができません。介護保険でリハビリを行うことはできるのですが、時間が限られており生活期におけるリハビリが社会問題の一つとなっています。

脳卒中は発症後の期間に関わらず医療介入が不可欠な状態であることが多く、発症初期から生活期にかけて少しでも早く医療の専門家の支援を受けることが重要です。同時に脳卒中後の生活を支えるためにリハビリ専門職によるサポートが欠かせません。理学療法、作業療法、言語聴覚療法などが組み合わさり、患者さんが最大限の身体機能を取り戻すために取り組まれます。

【理学療法士が解説】脳卒中後のリハビリ、発症から時間が経っていても効果はある?

脳卒中後のリハビリ

脳卒中後の理想的なリハビリ

結論からいうと、
脳卒中のリハビリは発症してからの期間に関わらず、どのタイミングでも行うことが望ましいです。

発症後すぐに行う急性期のリハビリが依然として重要であることは事実です。しかしながら、急性期だけにリハビリを行うのでは元通りの生活を取り戻したり、社会復帰するためには不十分です。リハビリを行わない期間が続くと身体機能は少しずつ衰えていきます。逆にリハビリを継続していれば身体機能を維持するだけでなく、むしろ向上させていくことも夢ではありません。そのため、リハビリは脳卒中発症後から継続して行うことが理想的です。

時間がたっていてもリハビリが効果的な理由

それでは脳卒中の発症後、リハビリを中断してしまった方はどうでしょうか。本来ならばリハビリを継続したかったけれども、保険制度の問題やその他様々な事情により、リハビリができていない方も多いのではないかと推察します。しかし、そのような方々でもリハビリを再開することで機能改善・生活改善は十分に期待できます。なぜなら発症から時間が経過していてもリハビリが効果的な理由があるからです。

発症から半年~数年、もしくは数十年経過しても、脳の可塑性(脳が学習し変化する能力)を考えると、リハビリを始めるタイミングに期日や締め切りはありません。脳の可塑性は病気によって障害を受けた脳が、学習や経験に対応して変化し、新たな環境や身体の状態に適応しようとする能力を指します。これは、病気によって思い通りに動けない脳の神経細胞があったとしても、その周囲に存在する他の神経細胞がお互いの結びつきを活発に変化させて、もう一度元通りに動けるように脳が変化を続けていることを意味します。

【理学療法士が解説】脳卒中後のリハビリ、発症から時間が経っていても効果はある?

例えば、私たちは新しい情報や技術(スキル)を学ぶ際、脳の中のシナプスと呼ばれる神経細胞同士の架け橋が変化し、新しい神経回路が形成されます。同様に脳に損傷があった場合でも、可塑性によって障害を補償するために新しい経路が構築されることがあります。 脳の可塑性は、生涯を通じて続く現象であり、子供から高齢者までの全ての年齢層で見られます。日常生活で受ける環境や経験が与える刺激が、この可塑性を促進します。

発症後の期間に関わらずリハビリを行うべき理由として、リハビリや学習、新しい挑戦への取り組みが脳の可塑性を引き出す重要な要因となっているのです。
多くの医学的な研究からも言われるとおりに、脳卒中から数か月、数年経過してもリハビリによる麻痺の改善や身体機能そのものの改善や変化があるということが報告されています!脳の損傷した領域がもう一度活性化することに加えて、周辺部分が新しい経路を形成し、損傷した機能を補償しようとする反応は後遺症リハビリのキーポイントなのです。

【理学療法士が解説】脳卒中後のリハビリ、発症から時間が経っていても効果はある?

理学療法士によるリハビリとは

脳卒中後のリハビリでは絶対に欠かすことのできない、身体機能のエキスパートが理学療法士です。リハビリプログラムは、症状や疾患の状態や患者さんの年齢・活動性・目標などに合わせて行う事が大切で、リハビリ専門職である理学療法士と密に相談しながら進めていく必要があります。継続的かつ適切なリハビリを続けることで、発症から期間が経過しても脳の機能改善が期待されます

また、脳卒中になられた方のご家族にとっても精神的・感情的な負担が大きいことも少なくありません。そのため、精神面からの専門家のサポートはご家族の心理面の負担を軽減することにもつながります。特に脳卒中後のリハビリを進めるうえで中心的な存在となる理学療法士によるリハビリや施術は欠かせません。以下に、理学療法士によるリハビリが脳卒中のリハビリを進めるうえで効果的な理由をご紹介します。

理学療法士によるリハビリが効果的な理由

脳卒中の後には、脳がダメージをうけたことによる後遺症による影響で以前は無意識に行えていたはずの、身体のバランスをとるなどの自然な反応もできなくなることが多いです。ボイタ法をはじめとする中枢神経を活性化させるリハビリや施術では、患者様の身体に眠っている正しい反応を無理なく引き出して、姿勢を維持するためのバランス感覚やそのための運動機能の改善を図ります。

また、正しく引き出された反応を日常生活へつなげるため、日常生活において必要な動作や活動に対する適切な方法やポイントも織り交ぜながらリハビリを進めることで、患者さんが自立した生活を送るための大きな力となります。

脳卒中の後遺症は様々で、損傷した神経の影響から原因不明の痛みや身体の不調が出現することがあります。原因不明の痛みや身体の不調は原因の特定が難しいという問題点もあり、発症後の日常生活で大きな悩みの一つとなるケースが多いです。身体にとって正しい反応や動き方を担当のセラピストとマンツーマンで反復することで、痛みや身体の不調が軽減する助けとなります。可能であれば専属の理学療法士と密に関わって、上記を交えてトータルにリハビリを行う事が重要で、「その人自身」に合わせた運動プログラムを通じて健康状態が改善してリハビリテーションの効果がより高まります。

まとめ

◉発症後の期間に関わらず、発症初期から生活期にかけて少しでも早く医学的なサポートとリハビリを進める。

◉リハビリや学習、新しい挑戦への取り組みが脳の可塑性を引き出す重要なポイントである。

◉継続的かつ適切なリハビリを続けることで、発症から期間が経過しても脳の機能改善が期待される。

いかがでしたか?
脳卒中の代表的な症状や後遺症について振り返りながら、発症期間とリハビリの関連性について理解が深まりましたら幸いです。脳卒中におけるリハビリテーションの進め方では早期のリハビリテーションが大切です。また、発症後は後遺症が残ることも少なくありません。まずはリハビリ専門職との関りを持つ事が第一歩です。信頼できる理学療法士による施術を受けて、「笑って長生き」できる新たな人生への一歩を踏み出しませんか?

 

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