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脳卒中のこと

2024.01.04

【理学療法士が解説】脳梗塞後の歩行の問題点とリハビリ方法とは?

皆さんこんにちは、リハビリZONE岐阜の後藤です。私たちは普段、脳梗塞・脳出血後遺症の片麻痺の利用者さんを中心にリハビリサービスを提供しています。脳卒中後に片麻痺になった方の多くは、歩くという今まで当たり前にできていた動作が不自由になります。特に発症後まもない時期は、感覚の低下から手足が自分のものではないように感じたり、とても動かしにくく感じたりします。

【理学療法士が解説】脳梗塞後の歩行の問題点とリハビリ方法とは?
そこで今回は、脳卒中後の歩行の特徴や歩くときに気をつけるべきポイントについて解説していきます。この記事を最後まで読んでいただくことで歩くことに対する理解が深まり、理想的な歩行に少し近づくことができるかもしれません。脳梗塞・脳出血後の後遺症で歩きにくさを感じている方や、それ以外にも腰痛・脊柱管狭窄症・パーキンソン病など、様々な理由で歩くということに悩みをお持ちの方は必見です。

歩くことで得られる効果

歩くことで得られる効果は多岐にわたります。身体的に健康になるだけでなく、精神的な面にも良い影響をもたらしてくれるのです。はじめに歩くことの7つのメリットについて解説します。

【理学療法士が解説】脳梗塞後の歩行の問題点とリハビリ方法とは?

 

1.筋力・骨密度の向上
歩くことで、脚の筋肉や骨に負荷がかかり、筋力や骨密度が向上します。
2.心肺機能の向上
歩くことで、心肺機能が向上し、心臓や肺の働きが強化されます。
3.代謝の改善
歩くことで、体内の代謝が改善され、脂肪燃焼や血糖値の調整などが促進されます。
4.免疫力の向上
歩くことで、免疫力が向上し、病気にかかりにくくなります。
5.ストレスの解消
歩くことで、ストレスホルモンの分泌が抑制され、リラックス効果が得られます。
6.精神の安定
歩くことで、神経系が安定し、精神的な安定感を得ることができます。
7.睡眠の質の向上
歩くことで、睡眠の質が向上し、より良い睡眠が得られます。

以上のように、歩くことで身体的・精神的にも多くのメリットがあります。様々な点において良い影響のある歩くということが、健康な時は当たり前のようにできていたのに、ある日突然脳梗塞になってしまったり、その他の疾患によって急に難しい事に変わってしまうのです。それでは脳梗塞後の歩行にはどのような問題があるのか解説していきます。

脳梗塞後の歩行の問題点

脳梗塞後の後遺症として以下のような問題が起こります。

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◉ 運動麻痺:思うように手足を動かすことができない。
◉ 感覚麻痺:触れている感覚、手足の感覚がわかりにくくなる。
◉ 筋肉の緊張異常:力を入れる、または抜くというコントロールが難しくなる。

このような症状は歩行にも影響し、速度の低下や不安定性が生じ、最終的には歩行パターンまでもが変化してしまいます。

1.歩行速度の低下
脳梗塞によって運動機能が低下し、歩行速度が遅くなることがあります。
2.歩行の不安定性
脳梗塞によってバランス感覚や姿勢制御機能が低下し、歩行の不安定性が増すことがあります。
3.歩行パターンの変化
脳梗塞によって歩行パターンが変化することがあります。例えば、片麻痺側の足を引きずる、足を引っかける、足を過度に曲げるなどが挙げられます。

続いて、脳梗塞後に生じる歩行パターンの変化や身体の変化の特徴について解説します。

<ぶん回し歩行>

脳梗塞後に膝や足首が動かしにくくなると、歩行の際につま先が地面に引っかかってしまいます。本来、つま先を上げるという動作がスムーズな歩行には欠かせないのですが、麻痺でその動作が出来ないため、それをカバーするような形(代償動作といいます)で片足を外側から回すように振り出すような歩行となります。

⇩ぶん回し歩行のイメージ⇩
【理学療法士が解説】脳梗塞後の歩行の問題点とリハビリ方法とは?

<内反尖足>

内反尖足(ないはんせんそく)は、脳梗塞などの脳卒中で下肢(足)の麻痺がある場合に、足の形状が変形してしまう状態を指します。内反尖足では、足首が内側に反り返り、かかとが上がったままになり、つま先が下がった状態で固まってしまうため、歩行をすることが困難になります。

内反尖足は、下肢の内側にある筋肉が強く、外側の筋肉が弱くなってしまうことが原因で起こります。内反尖足になってしまうと、足の裏が地面に接触せず、かかとやつま先で地面に立つことになります。このため、足首の周りの筋肉や靭帯が硬くなり、さらに内反尖足を引き起こす悪循環に陥ることがあります。内反尖足を改善するためには、歩行訓練やストレッチなどのリハビリが必要で、足首を内側に曲げた状態から外側に曲げる練習をしたり、つま先を上げたりするストレッチ運動が有効です。

また、歩行の際には、杖や歩行器などの補助具を用いて、足を正しく使って歩行するトレーニングを行います。これによって、内反尖足を改善し、歩行能力を回復することを目指すのです。

【理学療法士が解説】脳梗塞後の歩行の問題点とリハビリ方法とは?

<膝の過伸展>

脳梗塞のリハビリにおいて、膝の過伸展が起こる場合があります。膝の過伸展は、膝が通常よりも伸び過ぎてしまう状態で、歩行中に転倒や足首や膝の負傷のリスクを高めることがあります。これらに対しては、歩行の各タイミングで膝が伸びきらないようにすること、しっかりと身体を支えられるよう筋肉を瞬時に働かせることなどが重要です。

脳梗塞後に走れるようになるのか?

片麻痺とは、脳卒中などの原因で片側の運動機能が障害された状態を指します。片麻痺の程度や原因によっては、走れるようになる場合もありますが、回復までには時間が必要ですし、適切なリハビリ自主トレーニングを繰り返すことが必要です。

片麻痺になると、片方の下肢の筋力低下や運動制御の障害によって、歩行や運動が制限されます。走るためには両足で体重を支える必要があるため、片麻痺の方が走るのは容易なことではないですが、リハビリで運動機能の改善や筋力の増強を促すことができます。

具体的には、理学療法や作業療法による筋力トレーニング、歩行訓練、バランス訓練などが行われます。また、適切な装具や補助具を使用することで能力を発揮しやすい環境を作ることも検討されます。リハビリに取り組むことで、片麻痺の症状を改善させ、歩行能力を向上できる可能性があります。そのような努力を継続することで、最終的に走ることも不可能ではありません。脳梗塞になってしまったからといって、走る事を諦めずに頑張ってみる価値はあると思います。もちろん年齢や麻痺の程度によって個人差がありますので、専門家の指導の下で取り組むことが重要です。

【理学療法士が解説】脳梗塞後の歩行の問題点とリハビリ方法とは?

歩くためのリハビリとは

脳梗塞のリハビリにおいて歩行訓練は非常に重要な部分です。歩行訓練は、患者さんの歩行能力を回復するために、筋力・バランス・協調性を向上させることが目的となります。

まず、患者さんの歩行能力を評価し、歩行に関連する問題点を特定します。その後、歩行に必要な筋力を向上させるために、筋力トレーニングや姿勢調整などの運動を行います。また、バランス能力を向上させるために、一本足立ちや目を閉じた状態での立ち上がり、足踏み運動などのトレーニングを行います。

歩行訓練の進め方は、患者さんの状態や進捗状況に合わせて調整されます。例えば、初期の段階では、歩行器や杖を使って歩行訓練を行い、患者さんが安定して歩くことができるようになるまで徐々にトレーニングを進めます。その後、歩行器や杖を使わずに歩行することができるようになるまで、徐々に負荷をかけてトレーニングを行います。

歩行周期とは

歩く動作を考える上で欠かせない知識として、歩行周期というものがあります。例えば、歩行時に左足を振り出すときは右足で支えます。この支えているときの右足の働きや振り出している左足の動きについて一歩の中で「足が地面についている時間」や「足が地面から離れている時間」などのように時相(Phase:フェイズ)に分類するという考え方です。

【理学療法士が解説】脳梗塞後の歩行の問題点とリハビリ方法とは?歩行周期では歩いているときの一歩の動作を6つにわけて考えます。歩行周期は①初期接地、②荷重応答期、③立脚後期、④前遊脚期、⑤遊脚初期、⑥遊脚終期に分類され、②〜③の間を立脚中期、⑤〜⑥の間を遊脚中期といいます。これらすべてを覚える必要はもちろんありません。私たち療法士が、一歩歩くという動作をこれだけ細かく分けて考えていることを知っていただければ十分です。

図の右足に注目してお話しすると、立脚期とは足が地面に接地している時間のことで遊脚期とは足が地面から離れている時間を指します。歩行周期は、エネルギーと身体にかかる衝撃を最小限に、かつ推進力は最大限に活かすための動きになります。

歩き方が歩行周期から大きくずれてしまうと疲れやすくなったり、体のどこかに痛みが出てしまったりします例えば、集団行動での行進などを思い浮かべてもらうとわかりやすいかと思います。足を大げさに大きく上げるという動作を長時間続けたとします。この歩き方は各動作が誇張されているため、見た目は格好いいかもしれませんが、無駄のない理想的な歩行からはかけ離れているため長く続けていると足の疲れや痛みが出てきます。脳卒中(脳梗塞/脳出血)の後遺症による片麻痺や感覚障害、失調症状などでは、様々な理由により歩く際に理想的な歩行周期からずれやすい状態になっているのです。

効率の良い歩き方

歩行周期を理解し、改善のために活用しようとするのは難しいので、歩行周期の各phaseごとに気を付けるポイントについてご紹介していきたいと思います。

【理学療法士が解説】脳梗塞後の歩行の問題点とリハビリ方法とは?

① 足を地面につくときに踵から接地します。
② 踵から足の小指に向かって体重がを乗せていきます。
③ 体重が乗ってきた時に重心は地面についている方の足に移動します。
→体重を乗せていくにつれて、小指から親指の付け根(母指球)側に体重をかけていきます。
④ 母指球のあたりを使ってしっかりと地面を蹴ります。
⑤ 地面を蹴った足と反対側の足に体重が乗ったときに地面を蹴った反動で身体が上に向かって上がっていくイメージを持ちます。骨盤が上に向かう意識をもつと良いでしょう。
⑥ 蹴った足には力を入れすぎず、振り子のように自然に足が前に出るようにします。
① 再び踵から地面に着くように意識します。

いきなりすべてのポイントを意識して歩くことは難しく、逆にバランスを崩して転倒につながりかねません。まずは足をつくときに踵からつく事を意識する、地面を蹴るときに上に向かって伸び上がるようにする、など部分的に意識をもって変えていくようにしましょう。歩行の形だけを意識しすぎると、歩く際に余分な力が入りすぎて不自然な歩行になってしまうので注意しましょう。

また、歩く際は顔を上げて目線を少し前方に置くと良いと思います。目線が下がると首や肩に余計な力が入ってしまい、重心が前方に偏移しバランスが不安定になります。

まとめ

いかがでしたか?今回は歩行について解説しました。歩行は生活する上で必要不可欠なものになります。歩行は本来「足を振り出すぞ」と思いながら足を振り出しながら歩くというものではなく、無意識下で行われるのです。そのため効率の良い歩行を獲得するために、脳や体に正しい歩行の仕方を染み込ませるように繰り返しリハビリを行うことが大切になってきます。

個々の体格や足の長さにより歩幅や歩くスピードが異なるため、その方にあった歩行の仕方があります。リハビリでは、鏡の前や動画を使って自分の歩き方を確認しながらフィードバックを行いますが、ご家庭では歩いている様子をご家族などに動画を撮ってもらうのも良いかもしれません。

歩行のことでわからないことや困っていることがありましたらいつでもご相談ください。私たちの経験や知識がきっとあなたのお役に立つと思います。

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