脳卒中のこと
2025.12.14
脳卒中後の”見えない(?)障害” 高次脳機能障害の症状と対策
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こんにちは!リハビリZONE岐阜 理学療法士の松田裕之です。
脳卒中は、脳血管の障害により特定の脳機能が損なわれる疾患です。 その影響は、手足の運動麻痺といった身体機能だけでなく、認知、情動、感覚など多岐にわたります。
今回は、その中でも特に、日常生活や社会復帰の過程で見えない障壁となり得る「高次脳機能障害」に焦点を当てます。 「最近、忘れっぽくなった」「集中力が続かない」「計画的に物事を進められない」といったお悩みはありませんか?
この記事では、高次脳機能障害の具体的な症状とそのメカニズム、そしてリハビリテーションにおけるアプローチについて詳しく解説していきます。

高次脳機能障害とは
高次脳機能障害とは、脳卒中や交通事故などによる脳の損傷が原因で、記憶、注意、思考、言語といった高次の精神機能に障害が生じた状態を指します。 これらの機能は、私たちが社会生活を送る上で基盤となる能力です。
この障害の最も難しい点は、麻痺のように外見からは判断しにくいことです。 そのため、ご本人や周囲の方々にも症状として認識されにくく、「本人の意欲の問題」「性格が変わってしまった」「疲れているだけ」などと誤解されてしまうケースも少なくありません。
しかし、これらは日常生活や対人関係、就労といった社会復帰の過程において、目に見えない重大な障壁として機能することがあります。

高次機能障害の症状とメカニズム
代表的な症状について、そのメカニズムと現れ方を解説します。これらの症状は単独で現れることもあれば、複数重複することもあります。
注意障害
必要な情報に意識を集中させたり、意識を適切に配分したりすることが困難な状態です。 脳の情報処理の速度や容量が低下していると解釈されます。
【症状】
● 集中力の低下
一つの対象に持続的に意識を向けることが難しく、すぐに飽きてしまう、ミスが多くなる(例:読書、作業への集中が困難)。
● 選択的注意の困難
周囲の雑音や視覚情報に気を取られやすくなる(例:カフェで会話に集中できない)。
● 配分的注意の困難
複数の課題に同時に意識を配分することが難しい(例:会話をしながら料理の火加減を見る、テレビを見ながら電話応対する)。
半側空間無視
脳の一側半球(特に右半球)の損傷により、対側(多くは左側)の空間にある対象を認識しにくくなる状態です。
【ポイント】
これは視力や視野の問題(目が見えていない)ではなく、脳における「空間認識」のプロセス(見えている情報に意識を向ける)が障害された結果です。
【症状】
● 食事の際に(多くは)左側の食べ残しに気づかない。
● 左側にある人や物にぶつかる。
● 文章を読むときに左側の文字を読み飛ばす。
遂行機能障害
目標達成のために計画を立案し(プランニング)、手順を組み立て、効率的に実行し、必要に応じて計画を修正することが困難な状態です。 前頭葉の機能低下と関連が深いとされます。
【症状】
● 料理や買い物の段取りが立てられない。
● 計画通りに物事を進められず、途中で混乱してしまう。
● 予期せぬ事態(例:電車が遅れる)が起きた時に、どう対応してよいか分からなくなる。

記憶障害
新しい情報を記銘・保持することが困難な状態(記銘力低下)です。脳卒中発症以前の古い記憶(例:若い頃の思い出)は比較的保たれている場合も多く見られます。 一方で、数分前、数日前の出来事(エピソード記憶)を忘れてしまいます(例:新しい出来事を覚えられない、約束を忘れる)。
【症状】
● 何度も同じことを質問する。
● 薬を飲んだかどうか忘れてしまう。
● リハビリの担当者の名前を覚えられない。
失語症
言語を司る脳領域(主に左半球)の損傷により、「話す(発語)」「聞く(理解)」「読む(読解)」「書く(書字)」といった言語機能が全般的に障害される状態です。
【主なタイプ】
● 運動性失語(ブローカ失語)
相手の言うことは比較的理解できるものの、言いたい言葉がスムーズに出てこない、たどたどしい話し方になるタイプ。
● 感覚性失語(ウェルニッケ失語)
流暢に話すことはできますが、言葉の理解が困難で、話す内容に誤りが多い(「あれ」などの代名詞が多い、言い間違いがある)タイプ。
社会的行動障害
感情や欲求、行動をコントロールすることが難しくなる状態を指します。
【症状】
● 感情コントロールの低下
些細なことで怒りっぽくなる、すぐに泣き出す(感情失禁)。
● 意欲低下(アパシー
何事にも無関心になり、自発的な行動が減る。
● 固執
一つの考えや行動にこだわり、切り替えが難しい。
依存的・退行: 他者に過度に依存したり、子供っぽくなったりする。

回復へのアプローチ
ご自身またはご家族にこれらの兆候が見られる場合、最も重要なことは、それがご本人の意欲や能力、性格の問題ではなく、脳機能の障害によるものである可能性を理解することです。適切なリハビリテーションや環境調整を行うことで、症状の軽減や生活上の困難の改善が期待できます。
リハビリテーション
理学療法士(PT)、作業療法士(OT)、言語聴覚士(ST)、臨床心理士などが連携し、障害された機能の回復訓練や、残された機能を活かすための代償手段(メモ、アラーム、チェックリストなど)の活用訓練を行います。
環境調整
集中しやすいように静かな環境を整える(注意障害)、生活動線をシンプルにする(半側空間無視)、手順を紙に書いて壁に貼る(遂行機能障害)など、生活環境を調整します。
課題の細分化
一度に多くのことを求めず、一つの作業を小さなステップに分解し、成功体験を積めるようにします。
周囲の理解と対応
ご家族や職場の方が障害の特性を理解し、本人のペースに合わせてコミュニケーションをとること(ゆっくり、短く、具体的に話すなど)が非常に重要です。
脳には「可塑性(かそせい)」と呼ばれる身体の状態に合わせて脳の働く領域が変化する力があります。 適切なアプローチによりこの可塑性を促すことが、リハビリテーションの鍵となります。
まとめ
今回は、脳卒中後の「見えない障害」である高次脳機能障害について解説しました。私たちが発信する情報が、脳卒中後の療養生活を送る皆様、そのご家族のリハビリテーション継続と、より良い生活の獲得に向けた一助となれば幸いです!
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