リハビリのこと
2025.07.15
【保存版】認知神経リハビリテーションのすべてを解説
目次
認知神経リハビリテーションとは?
認知神経リハビリの基本
認知神経リハビリテーション(以下、認知神経リハビリ)は、脳の神経活動と運動機能の関係に着目し、知覚や認知の改善を通じて身体の動きを回復させるリハビリテーションアプローチです。
利用者様が周りの環境(物、人、空間など)に積極的に働きかけ、それに対する感覚や認識を取り戻していきます。その結果、脳が正しい情報を処理できるようになり、動きをスムーズにコントロールできるようになるため、運動機能の回復へとつながるのです。
従来のリハビリとの違い
従来のリハビリが「動かすこと」に重点を置くのに対し、認知神経リハビリは「脳がどのように動きを認識し、指令を出すか」に着目します。これにより、知覚と運動の統合的な回復を目指すのが大きな特徴です。
脳卒中や脊髄損傷、その他の神経疾患によって生じる運動機能障害は、単なる筋力低下ではありません。脳が適切な動作を認識し、制御する能力の低下が深く関与しています。だからこそ、脳がどのように動作を認識し、学習していくのかを考慮したリハビリが必要になるのです。認知神経リハビリでは、利用者様が環境と相互作用しながら適切な知覚と認知を取り戻し、その結果として運動機能の回復を促します。

認知神経リハビリの具体例
ここでは認知神経リハビリの具体的な例を説明します。例えば、テーブルの上にあるコップを取ろうとするとき、「コップの位置」「形」「距離」などを目で見て認識し、手を伸ばしてつかむ動作を行います。しかし、脳卒中や神経障害のある方は、こうした情報の処理がうまくできず、手が思うように動かないことがあります。
そこでまずは、「手を伸ばしている感覚」や「コップの感触」などを意識できるように練習します。触覚、圧覚(深部感覚)、関節の位置感覚を鍛えることで、「どのくらいの力で持てばいいか」や「腕の位置がどこにあるのか」といった感覚を取り戻します。これを適切な知覚と認知を取り戻す作業と呼んでいます。
感覚が戻ると、脳が適切な情報を処理できるようになり、スムーズな動作が可能になります。これにより、手足の動きが改善され、日常生活の動作(歩く、物を持つ、ボタンを留めるなど)がスムーズにできるようになります。つまり、認知神経リハビリの考え方は、「まずは**感じる力(感覚)を回復させ、その後に動かす力(運動)**を鍛えることで、運動機能の改善を目指す」というものです。

認知過程の5つの要素とは
リハビリにおける認知過程の重要性
「認知過程」とは、脳が外部からの情報を受け取り、それを処理して適切な行動につなげる一連のプロセスのことです。具体的には、知覚・注意・記憶・判断・言語といった要素が含まれ、これらが相互に作用しながら機能します。
1. 知覚(Perception)
五感(視覚・聴覚・触覚・嗅覚・味覚)を通じて情報を受け取り、それを意味のあるものとして認識する能力です。
例)
触れたものが熱いと感じて手を引っ込める。目で見たものを正しく認識し、それがリンゴだと理解する。
2. 注意(Attention)
必要な情報に意識を向け、不要な情報を無視しながら、効果的に情報を処理する能力です。
例)
騒がしい環境でも特定の人の声を聞き取る。歩行時にバランスを保つために足元に意識を向ける。
3. 記憶(Memory)
過去の経験や学習した情報を保持し、必要なときに取り出して活用する能力です。
例)
リハビリで学んだ歩行動作を次回のセッションでも再現する。家族や友人の名前を覚えている。
4. 判断(Decision Making)
知覚した情報や記憶をもとに、最適な行動を選択する能力です。
例)
信号が赤なので止まる。坂道を上る際に、安全なルートを選ぶ。
5. 言語(Language)
考えや感情を言葉として表現したり、他者の言葉を理解する能力です。
例)
リハビリの指示を聞いて正しく動く。自分の痛みや不安を言葉で伝える。

認知過程とリハビリの関係
脳卒中や神経疾患によって認知機能が低下すると、運動能力だけでなく日常生活にも影響が出ます。そのため、リハビリでは単に身体を動かすのではなく、「知覚 → 注意 → 記憶 → 判断 → 言語」という一連の流れを意識的に活性化させることが重要です。
例えば、歩行に置き換えると以下のようになります。
◼︎ 知覚:足が地面に接触する感覚を意識する。
◼︎ 注意:歩行時のバランスや姿勢に集中する。
◼︎ 記憶:以前に学んだ正しい歩き方を思い出す。
◼︎ 判断:障害物を避ける適切な歩き方を選択する。
◼︎ 言語:リハビリの指導を理解し、自分の状態を言葉で伝える。
このように、運動機能の回復と並行して認知機能の改善を図ることが、より効果的な自費リハビリにつながります。

認知神経リハビリの原則
身体と精神の相互作用
身体の運動は精神と切り離せないものと考え、リハビリにおいても両者の統合を目指します。
知覚と認知の活性化
運動の回復だけでなく、知覚や認知のプロセスを活性化し、利用者様自身が情報を構築できるよう促します。
過剰な運動の制限
回復初期に複雑な動作を行うことは、誤った運動パターンの定着を招くため、過度な動作や早期歩行は避けます。
感じることの重視
利用者様には「動かす」のではなく「感じる」ことを求め、運動を通じた自己認識を促進します。
認知神経リハビリの原理
知覚と運動の相互作用
運動機能を改善するためには、まず「知覚」の回復が不可欠です。人が何かを動かすとき、まずその動作を視覚、触覚、前庭感覚などで知覚し、それをもとに脳が適切な運動指令を出します。この一連の流れがスムーズでなければ適切な運動をすることができません。
例えば、脳卒中によって麻痺が生じた場合、手足を動かすことが難しくなるだけでなく、「動かそうとする意識」すら薄れることがあります。そのため、まずは適切な知覚情報を脳に与え、動きをイメージできる状態を作ることが重要になります。
注意を向け学習させる
認知神経リハビリにおいて「注意」は非常に重要な要素です。注意が向けられた対象に対して、脳はより多くの神経資源を割き、学習を促進します。例えば、歩行のリハビリではただ足を動かすだけでなく、どの筋肉をどのタイミングで使うのかを意識することで運動の学習が進みます。 さらに、脳は経験を通じて変化し続ける「可塑性」を持っており、適切な刺激を繰り返し与えることで新たな神経ネットワークを形成し、失われた機能を補うことができます。したがって、認知神経リハビリでは利用者様が注意を向け、意味のある動作を学習できるような環境を作ることが求められます。

記憶とフィードバックの活用
動作の学習には「記憶」が大きく関与しています。人が新しい運動を習得する際には、短期記憶と長期記憶を活用しながら学習を進めます。特に、運動を成功させた経験を記憶し、それを繰り返すことで動作が定着していきます。 認知神経リハビリでは利用者様が自分の動作を意識し、成功体験を積み重ねることが重要視されます。そのため、運動の結果をフィードバックとして提供し、利用者様が自身の動きを調整できるようにすることで、より効果的なリハビリが実現します。
判断と適応能力の向上
人は日常生活の中で、状況に応じて動作を適応させています。例えば、階段を上るときには、段差の高さを判断し、それに応じた足の動かし方を選択します。神経疾患や脳卒中によってこの判断能力が低下すると、転倒のリスクが高まります。
認知神経リハビリでは利用者様が環境の変化に対応し、適切な判断を行う力を回復させるためのトレーニングを行います。さまざまな地形での歩行練習や視覚情報を使った空間認知のトレーニングなどを取り入れることで、利用者様が状況に応じた動作を選択できるようになります。
言語とコミュニケーション
運動機能の回復には、言語やコミュニケーションも重要な役割を果たします。リハビリでは利用者様が自分の動きを言語化し、説明できるようにすることで、より明確な意識を持つことができます。 例えば、「右足をもう少し前に出す」「手をゆっくり握る」といった動作の指示を言葉にすることで、脳がその動作を認識しやすくなります。また、セラピストとの対話を通じて運動の意図を明確にし、リハビリの効果を高めることができます。
感覚刺激を活用した具体的なリハビリ方法
表在感覚とは、皮膚を通じて感じる触覚や温度、痛みといった感覚のことを指します。認知神経リハビリでは、この表在感覚の入力を工夫することで、脳が感覚情報を適切に処理できるようにサポートします。例えば、以下のような方法を用います。
異なる表面素材を用いた刺激
粗い布、滑らかな布、スポンジ、ゴムシート、木材など、異なる触感の素材を使用し、皮膚に軽く触れさせます。こうすることで、利用者様の脳が異なる触覚刺激を識別し、感覚の再教育が進みます。

温度刺激の活用
温かいものや冷たいものを皮膚にあて、温度差を感じさせることで感覚入力を強化します。温感や冷感の違いを意識することで、知覚の回復を促します。表在感覚の刺激は、脳が身体の状態を正確に把握するための重要な手段です。これを繰り返し行うことで、運動機能の回復を促進します。
スポンジを用いた圧覚(深部感覚)の練習
圧覚とは、皮膚や筋肉、関節にかかる圧力を感じる感覚であり、深部感覚の一部です。これが適切に働かないと、力加減の調整や身体の位置の把握が困難になります。認知神経リハビリではスポンジなどを用いて圧覚のトレーニングを行います。
・異なる硬さのスポンジを使用: 柔らかいスポンジ、硬めのスポンジなどを手や足に当て、圧力の違いを認識させます。これにより、圧覚の識別能力が向上します。
・圧力の段階的な変化を感じ取る: 軽く押す→少し強く押す→強く押す、という順番で圧力を加えて、どの程度の強さかを意識させます。
・圧力をかけた状態での動作練習: スポンジを挟んだ状態で手を開閉する、足の下にスポンジを置いて踏み込むといった運動を行い、圧覚のフィードバックを利用しながら動作を学習します。
このような練習を通じて圧覚の再構築を促し、力の加減を調整する能力を回復させます。

関節位置覚(深部感覚)の練習
関節位置覚とは、関節がどの位置にあるかを把握する感覚です。これが低下すると手足の動きがぎこちなくなり、姿勢や歩行のバランスを崩しやすくなります。認知神経リハビリでは、関節位置覚を向上させるために以下のような練習を行います。
● 目を閉じた状態で関節の位置を当てる
セラピストが利用者様の手足をある角度に動かし、その状態を覚えさせた後、「今、どの位置にあるか」を言い当ててもらう練習をします。これにより、脳が関節の位置を意識しやすくなります。
● 異なる角度での静止保持練習
例えば、膝を30度・60度・90度に曲げた状態で保持する練習を行い、関節の位置を脳に認識させます。
● 抵抗を加えた関節運動
軽い抵抗を加えながら関節を動かすことで、位置覚のフィードバックを強化し、より正確な動きを獲得できるようにします。
関節位置覚の改善は、スムーズな運動を行うための基盤となるため、これらの練習を繰り返すことで、より自然な動きを取り戻せるようになります。
認知神経リハビリを受けられる場所
認知神経リハビリを行なっていくためにはある程度の時間が必要です。保険下のリハビリでももちろん行うことは可能ですが、これらの多くのメニューを決められた時間内でこなすことは容易ではありません。特に急性期・回復期と環境が目まぐるしく変わっていく中では同じセラピストと腰を据えてリハビリを行なっていくことが難しいのが現状です。
しかしながら維持期・生活期となると保険制度上、リハビリに多くの時間を割くことができなくなってしまいます。そこで選択肢となるのが自費リハビリ施設です。自費リハビリ施設であれば、制度上の時間や回数の制限を受けることなくご自身が納得いくまでリハビリを行うことができます。効率よくリハビリを行うことももちろん大切ですが、リハビリにしっかりと時間をかけることも非常に重要です。リハビリに時間を要する認知神経リハビリを行うためには、自費リハビリを選択することでより高い効果を期待できるかもしれません。

まとめ
認知神経リハビリは、単に筋力や可動域を回復させるのではなく、脳が適切に身体の情報を処理し、動作を制御できるようにすることを目的としています。特に表在感覚入力、圧覚の練習、関節位置覚の練習を通じて、感覚と運動の統合を促進し、より自然で効率的な運動を実現します。
感覚が適切に働くことで、運動の質が向上し、日常生活の動作がスムーズになります。これにより、利用者様の**QOL(生活の質)**の向上につながり、より自立した生活を送るための支援が可能になります。
自費リハビリとして認知神経リハビリに取り組むことで、個々の状態に合わせたきめ細やかなアプローチを受けられ、着実な機能回復を目指すことができます。この記事が、認知神経リハビリにご興味をお持ちの方や、脳卒中後のリハビリ、神経疾患のリハビリでお悩みの方のお役に立てれば幸いです。ご自身の症状に合わせた自費リハビリをお探しでしたら、ぜひ一度ご相談ください。
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※認知神経リハビリでは、脳と身体の連携を強化し、正しい感覚を知覚することで認知過程を改善します。これにより、効果的な運動イメージが得られ、今回の記事では触れていませんが、リハビリZONE岐阜にありますロボットスーツHAL(Hybrid Assistive Limb)で、そのイメージをHALが具体的な動きに変換します。繰り返し運動を行うことで、身体がその動きを学習し、効率的な機能回復を目指していきます。

リハビリZONE岐阜では、『今よりもっと楽しい未来へ』を合言葉に、最先端の機器と専門的な技術・知識を駆使してあなたの回復を最大限サポートいたします。
リハビリは 「できることを増やし、次の目標に向かう挑戦の連続」 でもあります。私たちは、利用者様が 「もう変わらない」「限界かな」 と諦めるのではなく、「もっと良くなる」 という前向きな気持ちでリハビリに取り組めるよう、全力でサポートしていきます。
是非一度、体験リハビリを受けてみてください!スタッフ一同心よりお待ちしております。
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