脳卒中のこと
2025.11.30
介護者の負担を減らすために 〜介護技術とサポート情報〜
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こんにちは!リハビリZONE岐阜 理学療法士の松田裕之です。
脳卒中後のリハビリや療養生活を在宅で継続するためには、ご本人の努力だけでなく、ご本人を支えるご家族(介護者)の存在が不可欠です。しかし、その介護者の心身の健康が損なわれてしまっては元も子もありません。 日々の介護による疲労やストレスから介護の質が低下し、最終的には在宅療養そのものが困難になる「共倒れ」のリスクがあるためです。
今回は、ご家族や介護者の方々に向けて、日々の負担を軽減するための介助技術や、知っておいてほしいサポート情報について詳しく解説します。

「ボディメカニクス」の活用
在宅介護において、介護者が直面する最大の課題の一つが身体的負担、特に腰痛です。 「ベッドから車椅子へ」などの移乗介助は、毎日何度も行う動作であり、特に身体的負担が大きくなります。不適切な方法(例:力任せに抱え上げる)を続けていると、介護者が腰痛などを発症するリスクが非常に高くなります。そこで重要になるのが、介助者自身の体を守る技術である「ボディメカニクス」の原則です。
【ボディメカニクスの8原則】
①支持基底面を広くとる
両足を前後に適度に開いて立つことで、体が安定します。
②重心を低く保つ
介助者自身の腰を落とし(膝を曲げ)、重心を低くすることで安定性が増します。
③介助者と相手の重心を近づける
相手を自分に引き寄せ、できるだけ密着することで、小さな力で動かせます。
④大きな筋群(足や体幹)を使う
腕の力だけで持ち上げようとせず、足の踏ん張りや体幹(お腹・背中)の力を使います。
⑤相手の体を小さくまとめる
相手に腕や足を組んでもらうことで、力が分散せず、介助しやすくなります。
⑥水平に移動させる
持ち上げる(上下動)のではなく、滑らせるように水平に移動させる方が力は少なくて済みます。
⑦てこの原理を利用する
相手の膝やお尻などを支点として、「てこ」のように体を回転させます。
⑧足先を動作方向に向ける
身体をねじると重心が不安定になり、身体に負担がかかります。つま先を動作方向に向けて介護を行うと姿勢が安定します。また、ご本人ができることはご自身で行ってもらい(例:手すりを持ってもらう)、介助者は最小限のサポートに留めます。
これらの原則は、理学療法士や作業療法士が専門としています。 訪問リハビリや退院時指導の際に、ご自宅の環境に合わせて具体的な方法を指導してもらうことが非常に有効です。 また、スライディングボードやリフトといった福祉用具の活用も、負担軽減に繋がります。

コミュニケーションの工夫
意図が伝わらないことによる精神的なストレスも、介護負担の大きな要因です。
失語症の場合
<環境>
まずはテレビを消すなど、静かで集中しやすい環境を整えます。
<話し方>
「ゆっくり、短く、具体的な言葉で」話しかけます。
<質問の方法>
「はい/いいえ」で答えられる質問(クローズド・クエスチョン)を活用します。(例:「飲み物はいかがですか?」)
<非言語的コミュニケーション>
言語以外のコミュニケーション(表情、ジェスチャー、筆談、絵カード)を積極的に活用します。
<姿勢>
ご本人が伝えようとする「意図」を尊重し、時間をかけて待つ姿勢が何よりも大切です。

高次脳機能障害(注意障害・記憶障害)場合
指示は一度に一つずつ、具体的に伝えます。
メモやカレンダー、アラームなどを活用し、忘れても確認できる環境を作ります。
日課をルーティン化し、生活リズムを整えることも有効です。
環境整備と公的支援の活用
住宅改修
「手すりを設置したい」「段差を解消したい」といったニーズが生じた際、介護保険の「住宅改修費支給」が利用できる場合があります。
これは、要介護・要支援認定を受けた方が、手すりの設置、段差の解消、床材の変更、扉の交換、和式から洋式への便器交換など、特定の改修を行った際に、費用の一部(上限あり)が支給される制度です。
ケアマネへの相談
情報が不足しがちなため、まずは担当のケアマネジャーや地域包括支援センターに相談することが第一歩です。

レスパイトケアの活用
日々の介護に追われ、介護者自身の時間(休息、通院、社会参加)が確保できず、心身ともに疲弊してしまう状態(介護疲れ)は深刻です。そこで重要なのが、介護保険制度などを利用して介護者が一時的に休息をとるための「レスパイトケア」という考え方です。
<レスパイトケアの例>
● ショートステイ(短期入所生活介護)
施設に短期間宿泊し、介護サービスを受けられます。
● デイサービス(通所介護)
日帰りで施設に通い、リハビリや入浴、食事などのサービスを受けられます。
● 訪問介護(ホームヘルプ)
ヘルパーが自宅を訪問し、身体介護や家事援助を一時的に代行します。
● 訪問看護
看護師が訪問し、医療的ケアや健康管理、介護相談に応じます。
レスパイトケアは、単なる介護者の「休息」に留まりません。 介護者が自身の健康を維持し、リフレッシュすることで介護関係を客観的に見直す機会となり、結果として長期的な在宅療養を可能にするための重要な「戦略」です。

まとめ
介護保険制度や地域包括支援センター、担当のケアマネジャーは、これらの多様なサービスを調整し、ご家族を支援する地域のハブ機能としての役割を担っています。 「自分が頑張らないと」と一人で抱え込まず、ぜひ専門家を頼ってください。
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