リハビリのこと
2024.10.26
【理学療法士が解説】知っているようで知らない!?正しい歩行補助具の知識とは?
こんにちは、リハビリZONE岐阜の理学療法士、松田裕之です。
リハビリで使用する歩行補助具は怪我や病気、加齢によって歩行が難しくなった人々が、安全かつ効率的に歩けるようにするための心強いサポートツールです。
昨今はホームセンターなどで販売されていることも多く、買い物中に商品を見る機会も増えてきたのではないでしょうか?杖などの歩行補助具、車椅子などの福祉用具は、医療機関や専門家の指導のもとで使用されることが多く、個々の状態に合わせて選ばれます。
この記事では、代表的な歩行補助具と福祉用具の特徴について、理学療法士が臨床経験から培ったポイントも交えながら分かりやすく解説します。特に持病をお持ちの方、家庭内にご高齢の方がお見えの方にも必見の内容となっていますので、ぜひ最後までご覧ください!
病気の発症をはじめ身体状態の変化により、立っている時や歩いている時のバランスが悪くなったり、長距離の歩行も困難になってきます。そのような時に、歩行器や杖を使用することにより、歩くことが楽になり、歩行距離を延ばすことや歩行速度を早めることができ、今まで家に閉じこもりがちだった人も、外へ出るのが楽しみになります。
杖や歩行器には種類も多く、身体の状態により使用するタイプがありますので、適したものを選びたいものです。最近は機能だけでなく、色々なデザインのものがありますので、ご自分やシーンに合ったものを使える楽しみも出てきます。
目次
歩行補助具を使用する目的
歩行補助具は、その名の通り歩行を補助するものです。種類は多くあり、主に支持基底面を広げることで不安定な歩行バランスを補ったり、下肢の怪我などの際に免荷(※)をしながら歩行することを目的として使用されます。
商品の説明書には安全に使用するための使用方法なども記載されていますが、実際には対象者それぞれの生活環境や個人の想いに合わせて選択する必要がある点がポイントです。
移動能力は歩行補助具の選択で大きく変化するといっても過言ではありません。サポーターや足底板などを含めた装具との併用方法や専門的な練習を必要とする場合があり、医師をはじめ理学療法士や作業療法士、看護職員などのリハビリテーション専門職との関りはやはり重要となってきます。
〜免荷とは?〜
下肢の骨折、捻挫、手術後などにおいて、患肢に荷重がかからないようにすることです。免荷には段階分けがあり、全く荷重させない完全免荷、体重の何割かを荷重させる部分免荷(部分荷重)があります。
歩行補助具の魅力とは
さて、冒頭では歩行補助具の目的について解説しましたが、自分にあった歩行補助具はどのようにして選ぶのが良いのでしょうか?
例えば洗面所まで行って顔を洗う際は、どうしても杖から手を離さなければいけません。杖自身が立った状態で置ける機種であれば、手を離しても杖が倒れることはありません。歩行補助具の選択は、目的地までの移動と、目的地で行う必要のある先の動作まで考慮したうえで選択することが大切になります。
「自分が弱ってしまった気がする」、「若々しく見られたい・・・」など、杖を使うのはどうしても抵抗感があるという話をよく耳にします。しかし、転倒してから「あの時杖をついていれば」と後悔したり、家のベッドの上やテレビの前でじっと過ごしたりする時間が増えてしまっては本末転倒ではないでしょうか?歩行器や四脚杖は重くて使いにくいと思われがちですが、これらの歩行補助具を使用することで、「安全かつ楽に」実用的な歩行が可能になることに目を向けてみましょう。目が見えにくくなったら眼鏡をかけるように、気軽に歩行補助具を使ってみてはいかがでしょうか?
3種類の歩行補助具
一般的に用いられることの多い、3種類の歩行補助具について解説します。
歩行補助具 ①T字杖
(T字杖の特徴)
日常生活でも目にする機会が多いT字杖は、歩行補助具の中で最も一般的なものです。片手で使用するタイプの杖は、軽度なバランスの問題や脚に軽度の痛みがある方の歩行をサポートするために使われます。
折りたたみ式、伸縮式、四脚杖や基本のT字杖など、形状や機能が異なるものもあり、個々のニーズに応じて選べます。
(T字杖の使用方法)
杖の高さは使用者が直立した状態で、腕を自然に垂らしたときの手首の位置に合わせます。使用時は杖を前に出し、痛みや弱さを感じる側の脚と同時に出すことで、体重を杖にかけながら歩きます。
見逃しがちなポイントとして、杖先のゴムの劣化には注意が必要です。床に着く部分のゴムは消耗品です。すり減ってきたら福祉用具店や、身近なリハビリスタッフに相談するなどして交換を検討してみましょう。
歩行補助具 ②歩行器
↑固定型の歩行器
(歩行器の特徴)
歩行器は四本の足または車輪が付いたフレームで、腕の力で体を支えながら歩行をサポートします。主にバランスの問題がある人や、手術後のリハビリを行う人に利用されます。歩行器には固定型と前輪がついた車輪付き歩行器があります。
(歩行器の使用方法)
固定型歩行器は歩行器を持ち上げて前方に置き、その後で歩行器の中に体を移動させるという動作を繰り返します。車輪付き歩行器は前輪を転がすようにして歩行器を前に押しながら歩くため、持ち上げる必要がありません。
↑車輪付きの歩行器
歩行補助具 ③松葉杖
(松葉杖の特徴)
松葉杖は両腕で体重を支えるための補助具で、足のケガや手術後のリハビリに広く使われます。松葉杖を使うことで、足にかかる負担を軽減し、回復をサポートします。
(松葉杖の使用方法)
松葉杖の高さは使用者が立ったときに肘がわずかに曲がる位置に調整します。松葉杖を両手で握り、体重を松葉杖にかけながら、健側の脚で歩行します。
3種類の福祉用具
続いて一般的に用いられることの多い、3種類の福祉用具について解説します。
福祉用具 ①車椅子
(車椅子の特徴)
車椅子は歩行が困難な人や長距離の移動が難しい人のための移動手段です。手動型と電動型があり、使用者のニーズに合わせて選べます。車椅子は座ったままの状態で移動できるため、安全に移動が出来る点と足の負担を大幅に軽減します。
(車椅子の使用方法)
手動型車椅子は車輪を手で回すことで移動します。介助者が後ろから押すことも可能です。電動型車椅子はバッテリーで駆動し、レバーやジョイスティックなどの操作で移動します。
福祉用具 ②装具
(装具の特徴)
病気や疼痛により体の機能が低下した場合に身体機能の回復や機能低下防止等を目的として用いる器具が装具です。治療の手段の一つとして使う治療装具、障害が固定した後に日常生活の動作の向上のための更生用装具などに大きく分けられます。 また、装着する部位によって体幹装具、肘装具、長下肢装具、短下肢装具、膝装具など様々な種類があります。
(装具の使用方法)
装具の形状にもよりますが、基本的には肌又は洋服の上から正しく装着します。装着部位によって使用方法や適応となる病状も異なるため、医療機関でリハビリテーション専門職と義肢装具士が相談しながらオーダーメイドで作製するケースが多いです。市販されているコルセットの様に、幅広いサイズに対応可能な既製品も一般販売されています。
福祉用具 ③義足
(義足の特徴)
義足は失った脚の機能を補うための補助具です。個々の身体に合わせて作られ、歩行や走行をサポートします。技術の進歩により、スポーツなどでも使用可能な非常に高性能な義足も登場しています。
(義足の使用方法)
装着方法は義足をしっかりと装着し、ベルトや吸引システムを使って固定します。歩行する際はリハビリ専門家の指導のもと、正しい歩行の仕方を学びます。
歩行補助具の選び方と注意点
1. 専門家のアドバイスを受ける
歩行補助具は医師や理学療法士の指導のもとで選ぶことが重要です。自分の状態やニーズに最適なものを選ぶために、ぜひ専門家のアドバイスを受けましょう。
2. 使用方法を正しく学ぶ
歩行補助具の正しい使用方法を学ぶことが、安全かつ効果的に使用するために必要です。誤った使い方は、逆に身体に負担をかけることがあります。
3. 定期的な点検とメンテナンス
補助具の点検とメンテナンスを定期的に行い、故障や劣化がないか確認しましょう。特に、先程述べた杖先ゴムもそうですが、車椅子や電動スクーターなどの機械的な補助具はバッテリーの状態やタイヤの摩耗などに注意が必要です。
4. 使用環境に応じた選択
歩行補助具は使用する環境に応じて選ぶことが大切です。屋内での使用が多い場合と屋外での使用が多い場合では、必要な補助具が異なることがあります。
まとめ
リハビリの歩行補助具と福祉用具は、生活の質を向上させるための重要なツールです。自分に適した補助具を選び、正しく使用することで安心して移動することができ、身体機能の回復を力強くサポートします。理想としては専門家のアドバイスを受けながら、自分のニーズに合った補助具を見つけていくことが大切です。体に合った歩行補助具を活用することで、自立した生活を取り戻し、日常生活を楽しむための一歩を踏み出しましょう。
リハビリZONE岐阜でも経験豊富な理学療法士が歩行補助具の見直しやアドバイス、靴の状態確認を行っています。また、病気の発症による後遺症はもちろんですが、骨格の歪み、左右のバランスの悪さなど、お身体の不調を感じている方々には筋肉や関節など全身のバランスを整えて、お身体を良い状態に導いていきます。歩行補助具やお身体のことで不安な点がありましたら、ぜひ一度、リハビリZONE岐阜のリハビリ専門職にお声かけくださいね。
リハビリZONE岐阜では、『リハビリで笑顔を再生!!』を合言葉に、ボイタ法による施術とHAL®︎を用いた機能訓練を中心とした自費リハビリを行っております。これまでにリハビリで思うような結果が出ず諦めていた方、現在身体のことでお悩みのある方、もっとリハビリをしたいとお考えの方など、様々なニーズにお応えするための手段を多数ご用意しております。是非一度、体験リハビリを受けてみてください!スタッフ一同心よりお待ちしております。
お問い合わせ先
058-201-1356
営業時間
月-土 10:00-18:00
定休日
日曜日