脳卒中のこと
2026.03.30
脳卒中後、介護保険はいつから使える?申請のベストタイミングと注意点
目次
脳卒中後、介護保険はいつから利用できる?
制度の理解
脳卒中を発症され、入院リハビリを経ていよいよ退院が見えてくると、ご本人もご家族も少しホッとしますよね。しかし、在宅生活をスムーズに始めるためには、退院前から準備しておくべき大切なことがあります。それが「介護保険」の申請です。
「まだ若いから関係ない」「症状が軽いから必要ない」と思っている方もいるかもしれませんが、脳卒中は介護保険法で定められた「特定疾病」の一つです。そのため、40歳から64歳までの方でも、医師から脳卒中と診断されれば介護保険サービスを利用できます。65歳以上の方はもちろん対象で、原因疾患に関わらず申請することができます。
【補足】
特定疾病とは 介護保険制度において、40歳から64歳(第2号被保険者)の方が介護保険を利用できる条件となる疾病のことです。脳卒中(脳血管疾患)のほか、初老期における認知症、関節リウマチ、パーキンソン病など16種類が指定されています。

原則「要介護認定後」に利用可能
では、具体的にいつからサービスが使えるのでしょうか。原則として、介護保険サービスは、お住まいの市区町村に申請を行い、「要介護(または要支援)認定」という結果通知を受け取ってから利用開始となります。
この要介護認定は、申請すれば誰でもすぐに受けられるわけではありません。
申請後に
→市区町村の認定調査員がご自宅や入院中の病院を訪問
→心身の状態についての聞き取り調査
→主治医に「主治医意見書」を作成してもらう
という段階を経た上でこれらを総合的に考慮し、介護の必要度が判定される仕組みです。申請から認定結果が出るまでには、おおむね30日程度かかると考えておくと良いでしょう。
【補足】
主治医意見書とは 申請者の心身の状態について、主治医が医学的な観点から作成する書類です。要介護認定の審査会で、認定調査の結果とともに重要な判断材料となります。作成費用は市区町村が負担するため、自己負担はありません。
なお、認定結果が出る前でも「暫定ケアプラン」を作成してサービスを先行利用できる場合があります。ただし、認定結果によっては自己負担が発生するリスクもあるため、ケアマネジャーとよく相談した上で判断することが大切です。

申請が遅れるとどうなる?
もし、退院が近づいてから慌てて申請した場合、どうなるでしょうか。退院日までに要介護認定が間に合わず、退院してから数週間、何のサービスも使えない「空白期間」が生まれてしまう可能性があります。
私が担当した患者さんで、退院後にご家族だけで介護を頑張ろうとした結果、ご本人のリハビリ意欲が低下し、ご家族も介護疲れで共倒れ寸前になってしまったケースがありました。このご家庭では、退院後1ヶ月経ってから慌てて申請しましたが、その間の「空白期間」が在宅生活のスタートを非常に困難なものにしてしまったのです。
また、この空白期間中に転倒などのアクシデントが起きてしまうと、再入院につながるリスクもあります。介護保険の申請は早ければ早いほど良い、というのが現場で働く専門職の共通認識です。
介護保険を申請すべきタイミング
最適な時期は?
では、いつ申請するのがベストなのでしょうか。私の経験上、最もおすすめなのは入院中で、状態が安定してきた「入院中期〜後期」です。退院後の生活の方向性がある程度見えてきたこの時期に申請準備を始めることで、退院日と認定結果が出るタイミングを合わせやすくなります。
病院によっては、入院してすぐに退院支援の担当者(ソーシャルワーカーや退院支援看護師)がご本人・ご家族と面談を行い、退院後の生活について一緒に考えてくれる体制を整えているところも増えています。積極的に活用してみてはいかがでしょうか。
入院中にできる準備
入院中にまずやるべきことは、病院の医療ソーシャルワーカー(MSW)に相談することです。彼らは退院支援のプロフェッショナルであり、介護保険制度についても熟知しています。多くの場合、ご本人やご家族に代わって申請手続きを代行してくれます。
ソーシャルワーカーに相談すると、申請に必要な書類の準備はもちろん、退院後の生活を見据えたケアマネジャーの選定や、サービス事業者との連携までサポートしてくれます。また、主治医に「介護保険の申請をするので、意見書をお願いします」と伝えておくことも忘れないようにしましょう。
【補足】
医療ソーシャルワーカー(MSW)とは 病院に勤務する社会福祉士や精神保健福祉士などの資格を持つ専門職です。退院後の生活に関する相談や、介護保険・障害福祉サービスの申請支援、経済的な問題の相談など、幅広い支援を行います。入院中に「退院後の生活が不安」と感じたら、まず相談してみてください。

家族がやるべきこと
ケアマネージャーとの面談
ご家族にお願いしたいのは、退院前に担当のケアマネジャーとしっかり面談しておくことです。ご本人の身体状況や生活での希望を伝え、どのようなサービスが必要かを一緒に考えてケアプランを作成してもらいます。
利用サービスの選定
どのようなサービスを利用するのかを具体的に決めていくことも必要です。
例えば、「日中はデイサービスに通ってリハビリを続けたい」「お風呂の介助が不安だから訪問介護に来てほしい」といった具体的な要望を伝えるようにしましょう。
また、介護用ベッドや手すりなどの福祉用具のレンタル、段差解消などの住宅改修についても、この段階でケアマネジャーに相談しておくと、退院後すぐに安全な環境を整えることができます。
自宅の環境改善
手すりやスロープの設置などの住宅改修は申請から工事完了まで時間がかかることもあるため、できるだけ退院前に動き始めることをお勧めします。私の経験では、退院前に外出・外泊訓練の機会を利用して、ご自宅の環境を実際に確認しながら改修箇所を検討するのが非常に効果的でした。

申請が遅れやすいケース
経験上、申請が遅れてしまうケースにはいくつかの共通点があります。特に多い2つのケースを知っておくことで、ご自身の状況と照らし合わせてみてください。
軽症と思って様子を見る場合
「後遺症も軽いし、自分のことは自分でできるからまだ必要ない」と考える方は少なくありません。しかし、退院直後は気力で乗り切れても、在宅での生活は想像以上に身体的な負担が大きいものです。
私が担当した方で、退院後しばらくして転倒し、骨折して再入院となってしまった方がいました。もし先に申請して手すりの設置などの住宅改修を行っていれば、防げたかもしれません。「転ばぬ先の杖」として、少しでも不安があれば申請を検討することをお勧めします。
また、軽症の方こそ「予防的リハビリ」として介護保険のサービスを活用することで、症状の悪化を防ぎ、より長く自立した生活を続けることができます。「まだ大丈夫」と思っているうちに申請しておくことが、長い目で見ると賢い選択になりますよ。
医療保険との違いがわからない場合
入院中のリハビリは「医療保険」、退院後の在宅サービスは「介護保険」と、使われる保険制度が切り替わることも混乱しやすいポイントです。「病院でリハビリを受けていたから、退院後も同じように続けられる」と思っていたら、実は制度が違っていた、というケースをよく見かけます。
医療保険でのリハビリは、病院の種類にもよりますが日数に上限が設けられていることが多いです。一方、介護保険を使った訪問リハビリやデイケア(通所リハビリ)には、そのような日数制限はありません。この違いを理解し、退院後もリハビリを継続できる体制を整えることが重要になります。
【補足】
デイケア(通所リハビリテーション)とは 介護保険サービスの一つで、施設に通いながらリハビリテーションを受けるサービスです。理学療法士・作業療法士・言語聴覚士などの専門職によるリハビリが受けられます。デイサービス(通所介護)とは異なり、医師の指示のもとでリハビリが提供される点が特徴です。

早めに申請するメリット
早めに申請することのメリットは、単にサービスを早く利用開始できるだけではありません。ご本人とご家族の「安心」に繋がり、その後の在宅生活の質を大きく左右します。
在宅生活が安定する
退院と同時にケアマネジャーや訪問看護師、ヘルパーといった専門職がチームとして関わることで、在宅生活の基盤が早期に安定します。「何か困ったことがあっても、ケアマネジャーさんに相談できる」という安心感は、ご本人だけでなく、介護を担うご家族にとっても非常に大きな精神的な支えとなりますよ。
また、早期からサービスを利用することで、ご本人の生活リズムが整いやすくなります。デイサービスやデイケアに通うことで外出の機会が生まれ、社会とのつながりを保つことができます。これは身体機能の維持だけでなく、精神的な健康にも大きく寄与します。
リハビリや介護サービスを途切れず使える
入院中にせっかく頑張って改善した身体機能を、退院後に低下させてしまうのは本当にもったいないことです。早めに申請し、退院の翌日から訪問リハビリやデイケアにスムーズに移行できる体制を整えることで、リハビリの「空白期間」を防ぎ、機能の維持・向上が期待できます。
脳卒中後のリハビリは、発症からの時間が早ければ早いほど効果が高いと言われています。入院中のリハビリで得た成果を、退院後も継続して積み上げていくことが、ご本人の自立した生活への近道です。「継続は力なり」という言葉の通り、途切れずリハビリを続けられる環境を整えることが何より大切です。
まとめ
脳卒中後の在宅生活を成功させる鍵は、入院中から退院後を見据えて準備を始めることに尽きます。特に介護保険の申請は、タイミングが非常に重要です。一人で抱え込まず、まずは病院のソーシャルワーカーや、お住まいの地域の地域包括支援センターに相談してみてください。
大切なのは、ご本人とご家族だけで頑張ろうとしないことです。利用できる制度や専門職を最大限に活用して、安心して在宅生活への一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。
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