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脳卒中のこと

2023.07.15

【理学療法士が解説】 脳出血・脳梗塞後遺症で寝たきりにならないためには

寝たきりになりたくない脳出血・脳梗塞の方必見!
リハビリZONE岐阜の理学療法士による運動発達学に基づいた寝返りの話

皆さま、こんにちは!リハビリZONE岐阜・施設長の長屋です。リハビリZONE岐阜では、運動発達学的アプローチの『ボイタ法』と、装着型リハビリサイボーグHAL®︎』を組み合わせた、日本で唯一のリハビリを完全マンツーマンで集中的に行なっていただけます。利用者様の多様なお悩みに応えるべく、それぞれに合ったオーダーメイドのリハビリを提供しております。
今回は、「脳出血・脳梗塞後遺症により寝返りが上手くできないケース」について、その理由や解決方法について解説していきたいと思います。耳馴染みのない言葉かもしれませんが、ボイタ法の基礎となる「正常運動発達」「反射性移動運動」というのがキーワードです。

寝返りが打てなくなる理由は?

脳出血・脳梗塞後遺症で寝返りができなくなる原因は大きくわけて3つあります。

① 随意性が低下している

脳出血・脳梗塞後遺症ではいわゆる「麻痺」という状態が起こります。麻痺の範囲や程度は、どの部位に出血または梗塞が生じたかにより異なりますが、基本的には左の脳が障害されれば右半身が、右の脳が障害されれば左半身に麻痺を生じます。重症度は全く動かなくなってしまう完全な麻痺から、自分の意志の通りに動かしにくくなってしまう状態(随意性の低下といいます)まで様々です。脳出血・脳梗塞後には、寝返りをしたい方向(右に向きたい場合は右の手足)に麻痺している手足を思い通りに動かせないために、今まで無意識にできていた寝返り動作ができなくなってしまうのです。

② 身体が硬くなっている(筋緊張異常・痙縮)

脳の障害部位や程度にもよりますが、脳からの筋肉への信号が低下することで、①のように自分の意志通りに動かせないだけでなく、「弛緩」や「痙縮」といった筋緊張の異常が生じます。

「弛緩」とは、筋肉が緩んでいて、力が入らない状態のことをいいます。筋肉が弛緩していると手足がぶらぶらの状態になってしまい不安定です。不安定な状態の手足は使い勝手が悪いので、麻痺した手足を安定させるために肩甲帯や骨盤帯を体幹に引きつけて四肢を固定します。結果的に動きの悪い手足に加えて、体幹の動きも硬くなってしまい、身体の自由な動作を妨げます。

「痙縮」とは、自分の意思とは関係なく筋肉の緊張が高まり、手足が勝手につっぱったり曲がってしまったりしてしまう状態のことです。具体的には、手の指が握ったままで開きづらい、肘が曲がったままで伸ばせない、足の先が足の裏側の方へ曲がっているなどの症状がみられます。
脳出血・脳梗塞後に「弛緩」が起きても「痙縮」起きても寝返り動作に必要な手足の安定性や四肢と体幹との連動性が失われてしまうのです。

③ 身体が支えられない(抗重力機能低下)

麻痺により筋肉の活動が低下した手足は、身体を支えることができません。また、麻痺は運動のみならず感覚にも影響を及ぼします。特に股関節や肩関節は感覚が鈍くなることで、適切な位置で体重を支えたり、運動の軸を作ったり出来なくなります。①、②と影響し合うことで姿勢は著しく崩れ、背骨がしっかり伸ばせなくなります。正しく伸びることが出来ない背骨は回旋(捻る)機能を失い、結果的に寝返りが行えなくなります。

寝返り動作のもつ意味とは?

「布団やベッドの上で転がれないだけでしょ?」いえいえ、そんな単純な話ではありません。寝返りが行えないことは実は重大なことなのです

① 離床機会・時間の減少

寝返りをうつことと起き上がることは連続した動作です。寝返りができないと寝た状態からの起き上がりも行えないため、自分自身の力でベッドから起き上がることができません。介助がないと起き上がれない状況が続くと、自然とベッドの上で寝ている時間が長くなってしまい、結果として寝たきりになるリスクが高まります。

② 廃用症候群

人の身体は「重力に対して垂直に体を保つ」ことが前提でデザインされているため、寝たきりが続くと様々な機能が正常に働かなくなります。具体的には運動器(筋肉や骨)の機能低下、循環器(心臓)・呼吸器(肺)の障害、さらには自律神経・精神障害などを引き起こしてしまいます。
運動器障害は主に筋肉がやせたり(筋萎縮)、関節が固まったり(関節拘縮)、骨が痩せ細ったり(骨萎縮)といった事が起こります。循環器・呼吸器障害が起こると心肺機能が低下したり、誤嚥性肺炎を生じたり、血の塊が血管に詰まってしまったり(血栓塞栓症)することもあります。自律神経・精神障害に至るとうつ状態になったり、注意力・理解力・記憶力などが急激に低下する、せん妄状態に陥ったり、場所や時間がわからなくなってしまう見当識障害を起こすこともあります。その他にも廃用症候群に伴う弊害的な症状として尿路結石、尿路感染症、褥瘡(床ずれ)、逆流性食道炎などが挙げられます。

たかが寝返り、されど寝返り
…寝返りができないということは身体機能の低下を意味し、その状態が持続すると様々な問題が生じるのです。

寝返りが出来るようになるためには?

寝返りが行えるようになるための第一歩は、「首が座る」ことです。(専門用語で定頚といいます) 通常、「首が座る」ということは赤ちゃんのうちに出来ていることだと考えがちですが、発達した成人でも首が座っていない方がいるのです。ここでいう首が座るというのは、”頭部が背骨の上でしっかりと支えられている状態”のことを意味します。首が座っていないと考えられる代表例として「頭部が前方に突出、首が後傾、顎が上がっている状態」があります。これは比較的多くの方にみられる状態で、機能的には首が座っていないと評価します。
ボイタ法の基盤となる「正常運動発達」という概念では、首が座る時期が生後3か月、寝返りをうてる時期が生後6か月となっています。頭から骨盤までの背骨を含めた体幹の機能(私たちは“軸器官”と呼びます)がつながる時期です。

脳出血・脳梗塞後遺症の方では、運動麻痺や感覚麻痺、筋緊張の異常などにより、体幹の機能のつながりが損なわれてしまいます。つまり、生後3か月や生後6か月で獲得したはずの機能がうまく発揮できていない状態に陥っているのです。赤ちゃんの場合は運動発達的に未熟なため、成人の場合は脳出血や脳梗塞などの病気のため、とそれぞれ原因は異なりますが、どちらも体幹の機能のつながりがない状態とみなします。脳出血・脳梗塞後遺症の方の寝返りを観察すると、頭が持ち上がらず首を後傾して後頭部で枕や床を押して寝返ろうとする動作がよく見られます。これは、まだ寝返りがしっかり獲得できていな赤ちゃんがする動きと似ています。つまり、赤ちゃんも脳出血・脳梗塞後で首の位置がずれてしまっている人も同等の運動機能であると考えます。

この失われた機能をご自身の努力だけで取り戻すのは容易ではありません。私たちはマッサージやボキボキと骨を鳴らす施術でもそれを戻すことはできないと考えています。そこでボイタ法という手法をおすすめしています。ボイタ法では「誘発帯=zone」という部位に優しく刺激を与え続けることで、赤ちゃん〜成人に至るまで、すべての人が脳内に持っている運動プログラム(反射性移動運動)に働きかけて、寝返りに必要な機能を引き出します。そうすることで、自然と動作が改善することを目指します。首が座ることで体幹の機能のつがなりが戻り、自然と寝返りがうてるようになるのです。このようにボイタ法によって機能改善がもたらされると良い循環が生まれ、移動運動である「寝返り→起き上がり→四つ這い→つかまり立ち→伝い歩き→二足歩行」へと改善のサイクルがつながっていきます。

最後に

今回は、「脳出血・脳梗塞後遺症により寝返りが上手くできないケース」について、ボイタ法の基礎となる「正常運動発達」「反射性移動運動」の観点からお話しさせていただきました。これからも少しずつ、このようなお話をブログでしていきたいと思います。興味がある方は注目していてくださいね。
脳出血や脳梗塞などで障害を負ってしまった脳・神経の再生は、IPS細胞など再生医療が担う分野です。これからの研究の成果に期待するほかありません。残念ですがリハビリではそれらを回復させられる訳ではありません。しかしながら、脳出血・脳梗塞で起きる運動麻痺に影響され、「使えるはずなのに発揮できなくなっている」あなたの体に眠っている力を引き出すお手伝いすることが、私たち「リハビリZONE岐阜」に出来ることだと考えます。リハビリZONE岐阜では皆様が笑顔で過ごせるよう、一緒に考え一緒に歩んでいきたいと考えています。何かご不明な点、ご質問などございましたら下記までお気軽にご連絡ください。お話しされるだけでも結構ですよ。お待ちいたしております。

リハビリZONE岐阜では、『リハビリで笑顔を再生!!』を合言葉に、ボイタ法による施術とHAL®︎を用いた機能訓練を中心とした自費リハビリを行っております。これまでにリハビリで思うような結果が出ず諦めていた方、現在身体のことでお悩みのある方、もっとリハビリをしたいとお考えの方など、様々なニーズにお応えするための手段を多数ご用意しております。是非一度、体験リハビリを受けてみてください!スタッフ一同心よりお待ちしております。

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