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脳卒中のこと

2026.02.16

脳卒中の家族を支えるための介助のコツと心の持ち方

こんにちは!理学療法士の松田裕之です。ご家族が脳卒中を発症され、退院してご自宅での生活が始まるとき、当事者ご本人だけでなく、支えるご家族にとっても大きな変化と挑戦の始まりとなります。

脳卒中の家族を支えるための介助のコツと心の持ち方

「どのように介助すれば良いのだろう?」

「リハビリにどう関われば、本人のためになるのだろう?」

「終わりの見えない介護に、心身ともに疲れてしまう…」

こうした不安や戸惑いを抱えるのは、決してあなただけではありません。介護は短距離走ではなく、長い道のりを共に歩むマラソンです。大切なご家族を支え、無理なく走り続けるためには、正しい知識を持つこと、そして何よりも、ご家族自身の心と体を守ることが不可欠です。

この記事では、理学療法士として多くのご家族と関わってきた経験から、脳卒中当事者を支える上で知っておきたい身体的な特徴、介助者の負担を減らす介助のコツ、そして心を通わせるためのコミュニケーションのヒントをお伝えします。

脳卒中後の身体と心の特徴

適切なサポートの第一歩は、相手の状態を正しく理解することです。脳卒中後に見られる特有の症状を知っておきましょう。

脳卒中の家族を支えるための介助のコツと心の持ち方

脳卒中後は疲れやすくなる

脳卒中後の体は、以前よりも格段に疲れやすくなっています。これを「易疲労性(いひろうせい)」と呼びます。脳が損傷を受けたことで、一つ一つの動作を行うのに、以前より多くのエネルギーを必要とするためです。

周りから見ると「少し動いただけなのに」と思うかもしれませんが、ご本人にとっては全力疾走した後のように疲れていることもあります。リハビリを頑張らせたい気持ちは分かりますが、「休むこと」も回復に必要なリハビリ計画の一部だと捉えてください。疲れが見えたら無理強いせず、休息を促すことが、結果的にリハビリを継続させる力になります。

肩の亜脱臼リスク

麻痺側の腕は、筋肉の緊張が低下することで、肩の関節が緩み、腕の重みで肩が抜けかかる「亜脱臼」を起こしやすい状態にあります。亜脱臼は痛みを伴い、リハビリの妨げになるため、予防が非常に重要です。

日常生活での注意点は、「腕をだらりと下に垂らしたままにしない」ことです。

● 座っている時
クッションや枕、テーブルなどの上に腕を置き、腕の重みを支える。

● 移乗介助の時
麻痺側の腕を絶対に引っ張らない。

● 車椅子に乗っている時
アームレストやクッションで腕をしっかりと支える。

こうした小さな配慮が、大切なご家族の肩を守ります。

負担の少ない介助技術

介助は愛情だけでは続けられません。介助者自身の身体を守るための技術が必要です。力任せの介助は、腰痛の原因となり、共倒れになりかねません。

脳卒中の家族を支えるための介助のコツと心の持ち方

腰を痛めない移乗介助のコツ

ベッドから車椅子などへの移乗介助で最も大切なのは、「てこの原理」と「密着」です。力で持ち上げようとせず、相手の体を自分に引き寄せ、体を密着させます。そして、ご自身の体を軸にして、回転するように移動させます。

・準備:相手の足を床につけ、深くお辞儀をしてもらう。

・密着:ご自身の体を相手の体にぴったりとくっつける。

・移動:持ち上げるのではなく、お互いの重心を水平に移動させるイメージで。

「持ち上げない」「体を離さない」という2点を意識するだけでも、腰への負担は大きく変わります。訪問リハビリのスタッフなどに、一度実践してもらうのが最も効果的です。

痙縮がある手の開き方

麻痺側の手が、爪が食い込むほど強く握り込んでしまう「痙縮」。無理に指を一本ずつこじ開けようとすると、かえって緊張が強まってしまいます。

このような手を開く際のコツは、「親指の付け根から、優しく開く」ことです。手のひらの親指の付け根にある、ふっくらとした筋肉(母指球筋)を、手の甲側に向かってゆっくりと優しく広げるようにマッサージします。すると、手の全体の緊張が少しずつ緩み、他の指も開きやすくなります。決して力ずくで行わないでください。

コミュニケーションと環境

身体的な介助と同じくらい大切なのが、心のサポートとコミュニケーションです。ご本人が安心して過ごせる環境を整えることが、リハビリへの意欲にも繋がります。

脳卒中の家族を支えるための介助のコツと心の持ち方

失語症の方との会話のポイント

言いたい言葉が出てこない失語症の方に対して、周りができる最大のサポートは「時間をかけて、辛抱強く待つ」ことです。そして、コミュニケーションを円滑にするために、

・ 「はい/いいえ」で答えられる質問をする。(例:「お茶飲む?」)

・ ジェスチャーや表情を豊かにする。

・ 話の内容を先回りしすぎず、本人の言葉を待つ。

言葉が出なくても、伝えたい気持ちはあります。その気持ちに寄り添う姿勢が、何よりもご本人の心を支えます。

脳卒中の家族を支えるための介助のコツと心の持ち方

人が集まる場での配慮

親戚などが集まる年末年始は、楽しいイベントである一方、当事者にとってはプレッシャーを感じる場面でもあります。「昔と変わってしまった姿を見られたくない」「会話についていけない」といった不安を感じる方も少なくありません。

このような場では、ご家族が「事前に周囲へ状況を説明しておく」ことが非常に重要です。「疲れやすいので、途中で休むかもしれません」「話すのが少しゆっくりなので、待ってあげてください」と一言伝えておくだけで、周囲の理解が深まり、ご本人の心理的負担は大きく軽減されます。

メンタルサポート

リハビリは一進一退を繰り返す長い道のりです。できないことばかりに目が行くと、ご本人もご家族も気持ちが滅入ってしまいます。

脳卒中の家族を支えるための介助のコツと心の持ち方

「できたこと」を一緒に喜ぶ

ぜひ、「できるようになったこと」を一緒に見つけて喜ぶ「加点方式」の視点を取り入れてみてください。

「昨日よりスプーンをうまく持てたね」

「今日は5分長く歩けたね」

どんなに小さな変化でも、それを認め、共に喜ぶ姿勢が、リハビリを続けるモチベーションになります。ぜひ、小さなノートを用意して、ご本人と一緒に「できたこと日記」をつけてみてください。一日一つでも構いません。積み重なった「できた!」が、お二人にとって何よりの宝物になるはずです。

ご自身の時間も大切に

ご家族が笑顔でいることが、ご本人にとって一番の安心材料です。ショートステイなどの介護サービスを上手に利用して、ご自身の趣味の時間や休息の時間を確保することも、介護を長く続けるためには非常に重要です。「介護者が相談できる窓口(地域包括支援センターなど)」を頼ることも、決して恥ずかしいことではありません。

まとめ

ご家族のサポートは、脳卒中後のリハビリにおいて不可欠な力です。

①まず相手を理解する
「疲れやすい」などの特性を知ることが、思いやりのあるサポートに繋がります。

②自分の身体も守る
正しい介助技術を学び、力任せの介護から卒業しましょう。

③「加点方式」で前向きに
できないことより、「できたこと」を探す習慣が、ご本人とご家族の心を明るくします。

④一人で抱え込まない
地域の支援サービスや専門家を頼り、ご自身の心と体の健康も大切にしてください。

頑張りすぎず、周りを頼りながら、一歩一歩進んでいきましょう。あなたの存在そのものが、ご本人にとって最大の支えです。

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