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脳卒中のこと

2024.07.02

脳梗塞の危険を高める4つの病気と今日からできる対策

脳梗塞の危険を高める4つの病気と今日からできる対策
脳梗塞は、脳への血流が遮断されることによって起きる病気です。血流が遮断された脳の一部が酸素と栄養不足になることで、その機能を失います。脳梗塞のリスクを高める病気の代表格である高血圧糖尿病脂質異常症心房細動について、その理由と対策について解説します。

高血圧

◉ 高血圧が脳梗塞のリスクになる理由
高血圧は、脳梗塞のリスクとして最重要と言っても過言ではありません。血圧が高い状態が長い期間持続すると、動脈の壁に負担がかかり、血管に小さな傷ができます。この小さな傷を修復する際に動脈が固くなる変化(動脈硬化)が起き、血管内の通り道が狭くなってしまいます。狭くなった血管は血流が途絶えやすくなるだけでなく、血管の中に血液の塊(血栓)が形成されやすくなります。血栓が血管を詰まらせてしまうと脳梗塞を発症するのです。また、血管に動脈硬化が起きている状態で血圧が急激に上昇すると、一時的に脳への血流が途絶えてしまう一過性脳虚血発作(TIA)や、脳血管が破裂してしまう脳出血を引き起こす可能性もあるのです。

◉ 今日からできる対策
まずはご自身の血圧を測ってみましょう。病院を受診した際はもちろんのこと、最近ではスポーツジムや温泉施設などにも血圧計が設置されている所があります。また、Amazonや楽天などで家庭用の血圧計を購入することも可能です。おおよその目安として3,000円〜15,000円で販売されています。家庭で測定する血圧の正常値は以下の通りです。ご自身の血圧が少しでも高い場合は、まずは医療機関を受診して相談しましょう。

<家庭血圧の正常値>
・最高血圧が135mmHg未満
・最低血圧が85mmHg未満

脳梗塞の危険を高める4つの病気と今日からできる対策また、食生活では塩分の摂取を控えること、適度な運動を習慣にすることなどは血圧を正常範囲に保つために重要です。まずは1日10~15分でも良いので、ウォーキングなどの有酸素運動から始めてみるのはどうでしょうか。
さらに、ストレスも血圧を上昇させる原因の一つです。現代社会ではストレスと無縁で生活することは難しいですが、趣味を楽しむ時間を確保したり、自宅でリラックするする時間を設けたりして、上手にストレス管理することも必要ですね。

糖尿病

◉ 糖尿病が脳梗塞のリスクになる理由
糖尿病は、血液中の糖の値(血糖値)が高い状態のことです。その原因は様々ありますが、主に血糖値をコントロールするためのインスリンという成分の分泌が不足したり、インスリンに対する反応が悪くなっていると考えられています。高血糖状態が続くと、血管の壁(血管内皮細胞)がダメージを受け、高血圧の時と同じ様に動脈硬化が起こります。これにより、脳への血流が障害されるリスクが高くなるのです。

また、糖尿病患者は血液が固まりやすい状態になることが多く、血栓ができるリスクが高まります。さらに、糖尿病は高血圧や脂質異常症と併発することも多く、これらのリスク要因が複合して脳梗塞の危険性をさらに高めます。

◉ 今日からできる対策
糖尿病は「サイレントキラー」とも呼ばれ、自覚症状が表れる頃には重症化していることも珍しくありません。糖尿病の診断には、血液検査でHbA1c(“ヘモグロビンエーワンシー”と読みます)を測定するのが一般的ですが、ご自身で血糖値やHbA1cを測定することはできません。まずは毎年の健康診断を受けるようにしましょう。そこで問題を指摘された場合は、すぐに医療機関を受診しましょう。検診を受ける機会がない方は、一度近くのクリニックで血液検査をするのが良いでしょう。

最も簡単にできることは体重計に乗ってみることです。5年前・10年前と比べて体重、増えていませんか?体重が増えているということは内臓脂肪が増加していたり、正しい生活習慣が守れていない可能性が高いということです。適正な体重の目安にはBMI(Body Mass Index)という指標が便利です。BMIの計算式は以下の通りです。

<BMIの算出方法>
BMI = 体重kg ÷ (身長m)2
適正体重 = (身長m)2 ×22

日本肥満学会では、BMI 22を適正体重(標準体重)と定めています。これは統計データから見ても最も病気になりにくいとされる体重です。BMIが25以上だと肥満とされ、様々な病気のリスクが高くなります。まずはご自身のBMIを計算してみてください。万が一BMIが25より高かった場合には、医療機関を受診してすでに生活習慣病になっていないかなどのチェックを受けましょう。
脳梗塞の危険を高める4つの病気と今日からできる対策

脂質異常症

◉ 脂質異常症が脳梗塞のリスクになる理由
脂質異常症は、血液中の脂質(コレステロールやトリグリセリド)が異常に増加した状態です。特に、悪玉コレステロールと言われる、LDLコレステロールが高い状態が続くと、動脈硬化を引き起こしやすくなります。動脈硬化により血管が狭くなり、脳への血流が妨げられるリスクが高まります。また、脂質異常症は血液をドロドロの状態にし、血栓が形成されやすくなるため、そういった点でも脳梗塞のリスクを高めます。

◉ 今日からできる対策
高血圧や糖尿病に対する対策と同様に、適度な運動(特に有酸素運動)とバランスの良い食事が基本です。食事では、飽和脂肪酸やトランス脂肪酸の摂取を控え、オメガ3脂肪酸を多く含む食品(魚、ナッツ類など)を摂取することが有効とされています。健康診断でコレステロール値の異常を一度でも指摘されたことがあれば、病院を受診した方が良いでしょう。脂質異常症の治療に用いられるスタチンという薬は動脈硬化を予防するなど、様々な効果があることが研究されています。
↓↓摂取を控えたい食べ物↓↓

◉飽和脂肪酸が多い
肉の脂・バター・生クリーム・カップラーメンなどの加工食品など

◉コレステロールが多い:
鶏卵・魚卵・レバー・ケーキ・アイスクリームなど

↓↓積極的に摂取したい食べ物↓↓

◉不飽和脂肪酸が多い
青魚(サバ・サンマ)・ナッツ・オリーブオイルなど

◉食物繊維が多い
野菜・きのこ・海藻・大豆製品・玄米など

心房細動

◉ 心房細動が脳梗塞のリスクになる理由
心房細動は、本来一定のリズムで拍動するはずの心臓が、不規則になってしまう病気です。不規則な心臓の拍動(不整脈)が起きると、心臓の中で血液の流れが乱れ、血栓が形成されやすくなります。心臓の中にできた血栓が、ふとした拍子に血流に乗って脳へ運ばれると、脳の血管を塞いで脳梗塞を引き起こす可能性があります。心房細動は特に塞栓性脳梗塞(血管が詰まるタイプの脳梗塞)のリスクを高めることが知られています。

◉ 今日からできる対策
結論は、”たくさん睡眠をとること” これに尽きます。
吹田研究という、大阪府吹田市の住民を対象に行われた研究で、「心房細動を予防するためには、日頃から規則正しく適切な長さの睡眠を取ることが必要」という結果が2022年に発表されました。一般的に日本人の睡眠が経済協力開発機構(OECD)による統計データでは、日本人の平均睡眠時間は男性7時間28分、女性7時間15分で、英国人男性の8時間24分、女性の8時間31分、フランス人男性の8時間29分、女性の8時間36分、米国人男性の8時間43分、女性の8時間57分と比較して1時間以上も短いことがわかっています。適切な睡眠を確保するために、睡眠の妨げになるとされる、就寝直前のスマホの利用、カフェインの摂取、アルコールの過剰摂取や入浴といった生活習慣を改善することも必要です。

脳梗塞の危険を高める4つの病気と今日からできる対策

まとめ

脳梗塞のリスクとなる、高血圧・糖尿病・脂質異常症・心房細動という4つの病気と今日からできる対策を解説しました。これらの原因は、それぞれ完全に独立したものではなく、運動不足や乱れた食生活など、共通する点が多くあります。

バランスの良い食事、適度な有酸素運動、禁煙、適正体重の維持、定期的な検診、上手なストレス管理など、これらの対策を実行することで、高血圧、糖尿病、脂質異常症、心房細動による脳梗塞のリスクを大幅に低減することができます。個々の病気に対する理解を深め、適切な医療と生活習慣の改善を組み合わせることが、脳梗塞の予防において最も効果的です。

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