脳卒中のこと
2026.02.02
【脳卒中後遺症】生活動作が楽になるリハビリのコツ
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脳卒中後のリハビリの大きな目的の一つは、食事、着替え、トイレ、入浴といった「日常生活動作(ADL)」の再獲得です。病院を退院し、ご自宅での生活が始まると、これまで当たり前にできていたはずの動作が、思い通りにいかないことに戸惑いやもどかしさを感じる場面が少なくありません。
「お皿を洗うのに一苦労する」
「椅子からドスンと座り込んでしまう」
「着替えに時間がかかって疲れてしまう」
しかし、ご安心ください。体の動かし方のちょっとしたコツを知り、環境を少し工夫するだけで、これらの「困った!」は「できた!」に変わる可能性があります。リハビリは病院だけでするものではありません。毎日の暮らしのすべてが、あなたにとって最高のリハビリの舞台になるのです。
この記事では、理学療法士の視点から、脳卒中後の日常生活をより安全でスムーズにするための具体的な工夫やアイデアを、「セルフケア」「家事」「移動」の3つの場面に分けて詳しく解説していきます。一つでもご自身の生活に取り入れられるヒントが見つかれば幸いです。

目次
「セルフケア」の質を高める工夫
毎日行うセルフケアは、リハビリの基本です。安全かつ効率的に行うためのポイントを見ていきましょう。
着替えの工夫
肩を痛めない「患側から袖を通す」を心掛ける
特に冬場など厚着になると、着替えは一苦労です。麻痺側の腕が上がりにくい場合、無理に動かすと肩を痛めてしまう危険性があります。ここで絶対に守っていただきたいのが「患側から袖を通す」という更衣動作の重要ポイントです。
● 衣服を着る時
:麻痺側(患側)の腕から先に袖を通す
● 衣服を脱ぐ時
:動かしやすい側(健側)の腕から先に袖を抜く
「着患脱健(ちゃっかんだっけん)」と覚えるのも良いでしょう。この順番を守ることで、肩関節への負担を最小限に抑え、衣類の引っかかりも少なくなります。前開きの服や、少し大きめのサイズの服を選ぶことも、着替えを楽にする工夫の一つです。

トイレ動作の工夫
夜間の転倒を防ぐ安全なステップ
夜間のトイレは、転倒リスクが非常に高い場面です。寝起きで頭がはっきりしない状態で、焦って立ち上がると、ふらつきや立ちくらみを起こしやすくなります。夜中にトイレに行く際は、以下のステップを習慣にしましょう。
● ベッドサイドに一旦座る
● 一呼吸おいて、意識がはっきりするのを待つ
● 足元が安定していることを確認してから、ゆっくり立ち上がる
この「一旦座って、一呼吸」が、急な血圧変動を防ぎ、安全な移動につながります。また、ベッドからトイレまでの動線に物を置かない、足元灯を設置するなどの環境整備も非常に重要です。
食事の工夫
手首を安定させて、こぼさず食べるには
食事中に食べ物や飲み物をこぼしてしまう原因の一つに、「手首の固定力の弱さ」が考えられます。手首がぐらつくと、箸やスプーンを口に運ぶまでの間にコントロールが効かなくなってしまうのです。
改善策として、食事の際にテーブルの上に「滑り止めのマットなどを敷き、その上に麻痺側の前腕(肘から手首まで)を乗せる」方法があります。腕全体をテーブルに預けることで手首が安定し、スプーン操作などがしやすくなります。グリップが太いスプーンや、縁に返しのついたお皿(すくいやすいお皿)など、便利な自助具を活用するのも有効な手段です。
家事を安全・効率的に行うアイデア
家事は、生活に張り合いをもたらす重要な役割ですが、身体にとっては複雑な動きの連続です。安全に、そして少しでも楽に行うための工夫を見ていきましょう。
皿洗いの工夫
麻痺側の手が使いにくい場合、片手で皿を洗い、もう片方の手で皿を支えるという動作は非常に困難です。そんな時は、道具の力を借りましょう。
● 滑り止めマット
:シンクの中に敷くことで、お皿が滑らず安定します。
● 吸盤付きブラシ
:シンクの底や壁に固定できるブラシを使えば、片手でお皿をこすり洗いできます。
● 柄付きのスポンジ
:コップなど、手の届きにくいものも洗いやすくなります。
これらの道具は、最近では100円ショップやホームセンターでも手軽に見つけることができます。「どうすればできるか?」という視点で道具を選ぶことが、家事を続ける秘訣です。

掃除・片付けの工夫
「掃除機をかけながら、落ちているものを拾う」といった二つの作業を同時に行うことは、脳卒中後の注意障害がある方にとっては非常に難しいことがあります。
このような場合は、「一つずつ片付ける」というシングルタスクを徹底しましょう。「まず、床の上のものを全て片付ける」→「次に、掃除機をかける」というように、作業を分解することで、混乱なく集中して取り組めます。
また、片手で雑巾が絞れないという悩みには、「レバー式で水が絞れるモップ」や「使い捨てのウェットシート」などの便利な掃除道具が大変役立ちます。無理に従来のやり方にこだわらず、文明の利器を積極的に活用しましょう。
安全第一
年末の大掃除など、特別な家事を行う際は、安全が最優先です。脚立に乗って高い所を掃除するなど、転倒のリスクが高い作業は絶対に避けましょう。
ご家族と協力し、「安全にできること」を役割分担することが重要です。例えば、「低い場所の拭き掃除」「道具の準備や片付け」「作業の指示出し」など、自分ができる範囲で参加することが、家族の一員としての役割を果たし、やりがいにも繋がります。
移動に関する動作のコツ
立ち座りや階段など、家の中での移動は毎日の繰り返し。ここでの動作がスムーズになると、生活全体の質が向上します。
腰を痛めない座り方
椅子に「ドスン!」と勢いよく座り込んでしまうのは、重心が後ろに残ったままお尻を下ろそうとするのが原因です。これではバランスを崩しやすく、腰にも負担がかかります。
安全でスムーズな立ち座りのコツは「お辞儀」です。
● 座る時
:まず深くお辞儀をして、頭を膝より前に出してから、ゆっくりお尻を下ろす。
● 立つ時
:同じく深くお辞儀をして、お尻を浮かせてから、体を起こす。
この「お辞儀」によって、重心がスムーズに前へ移動し、足でしっかりと体重を支えることができるようになります。

階段昇降の原則
〜階段の登りは良い足、降りは悪い足〜
階段、特に下りる動作に恐怖心を感じる方は少なくありません。下りは前方の視界が狭くなり、バランスを保つのが難しくなるためです。階段昇降には、安全のための絶対的な原則があります。
● 階段を登る時
:良い方(健側)の足から先に段に乗せる。
● 階段を降りる時
:悪い方(麻痺側)の足から先に段に下ろす。
「行きは良い良い、帰りは怖い」と覚えるのも良いでしょう。この原則を守ることで、常に動かしやすい健側の足で体を支えることができ、安定性が格段に増します。最初は手すりをしっかりと持ち、低い踏み台などを使って練習することから始めましょう。
まとめ
毎日の生活動作の中に、リハビリのヒントはたくさん隠されています。
①ポイントを覚える
:「着患脱健」や「階段昇降の原則」など、安全のための基本ルールを身につけましょう。
②便利な道具を活用する
:100円ショップのグッズでも、生活を楽にするヒントはたくさんあります。積極的に試してみましょう。
③動作を分解する
:「お辞儀してから座る」「シングルタスクで掃除する」など、一つの動作をシンプルにすることで、体への負担は大きく減ります。
この記事を読んで、「これならできそう!」と思えるものがあったら、ぜひ今日から一つ試してみてください。その小さな「できた!」の積み重ねが、あなたの暮らしをより豊かにしていきます。
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