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脳卒中のこと

2025.03.12

脳卒中とバランスの問題 〜リハビリテーションを通じた改善法〜

脳卒中とバランスの問題 〜リハビリテーションを通じた改善法〜
脳卒中を発症すると、運動機能や感覚機能、言語機能などに障害が現れ、生活全般に大きな影響を与えます。その中でも、バランスの問題は生活の質を低下させる要因の一つです。バランスを失うことで歩行が困難になり、転倒のリスクが高まるため、回復には特別な注意と努力が必要です。

本記事では、脳卒中後のバランス回復について、リハビリテーションや日常生活でできる対策を中心に解説します。どのようにしてバランス感覚を取り戻し、日常生活を改善できるのか、具体的な方法や注意点をお伝えします。

.脳卒中とバランスの問題 〜リハビリテーションを通じた改善法〜

脳卒中後にバランス能力が低下する原因

脳卒中(脳梗塞や脳出血など)を発症すると脳の血流が遮断されることによって脳細胞が損傷を受け、その結果、様々な身体的な機能障害を引き起こすことがあります。バランス能力の低下もその一つであり、脳卒中後に多くの患者さんが経験する症状です。バランス能力の低下の原因については、いくつかの要因が関与しています。

脳の損傷部位

脳卒中の種類や損傷を受けた脳の部位によって、影響を受ける機能が異なります。特にバランスに関わる領域として、以下のような部位があります。

① 小脳
:バランスの調整を担当している部位で、ここに損傷があると、歩行や姿勢の調整に問題が生じることがあります。

② 前庭系
:体の位置や動きの感覚を脳に伝える役割を持つ部分で、脳卒中により感覚の伝達に支障が生じるとバランスが取れなくなります。

③ 運動皮質
:筋肉を動かすための指令を出す部分ですが、これが影響を受けると、筋力や協調性に障害が生じ、バランスを崩すことがあります。

筋力の低下

脳卒中後は、麻痺や筋力低下が生じることが多く、特に片側の身体に力が入らなくなることがあります。この筋力低下がバランス能力に影響を与え、立ったり歩いたりする際に不安定になります。

感覚の障害

脳卒中により、身体の位置感覚(固有感覚)や視覚、触覚などに障害が生じることがあります。これらの感覚情報が正しく脳に伝わらないと、バランスを保つための情報が不足し、転倒のリスクが高くなります。

協調性の障害

脳卒中後には、筋肉の動きの調整がうまくいかなくなることがあります。これにより、体を動かす際の協調性が失われ、結果的にバランスを保つことが難しくなります。

疲労や認知機能の低下

脳卒中後は、身体的な疲労や認知機能の低下もバランス能力に影響を与えることがあります。疲れが溜まると、バランスを取るための集中力が低下し、転倒しやすくなることがあります。

脳卒中とバランスの問題 〜リハビリテーションを通じた改善法〜

バランス能力低下に伴う症状

脳卒中後に現れるバランス障害の症状は、患者さんの脳卒中の種類や発症した部位、損傷の程度によって異なりますが、一般的には次のような症状が見られます。

ふらつき

脳卒中後、バランスを取るために必要な筋肉の協調性が失われるため、立っているときに体が不安定になり、ふらつくことがあります。立ち上がったり、座ったりする際に体を支える力がうまく働かず、足元が不安定になることが多いです。立ち上がった瞬間に体が左右に揺れる、立っているときに一方に倒れそうになるなどの症状が挙げられます。

歩行困難

脳卒中により、歩行に必要な筋力や協調性が低下するため、歩行が不安定になります。歩行時に足元がふらつき、転倒しやすくなる場合もあります。歩幅が小さくなり、歩行速度が遅くなることが一般的です。歩くときに足元がしっかりしない、歩行中に転びそうになるといった症状が挙げられます。

片脚立ちができない

バランス障害が進行すると、片足で立つことが非常に難しくなります。バランス感覚が欠けているため、片足を上げて立っている状態を維持するのが困難です。

動作の協調性の欠如

脳卒中後、動作の協調性が失われることがあります。これは、体の複数の部分がうまく連携できなくなるため、歩行や立ち上がり、座る動作など、日常的な動きがスムーズに行えなくなります。特に麻痺がある側の手足が動かしにくく、バランスが取れなくなることが多いです。歩行中に足が躓く、立ち上がる際に一部の体を意識的に使おうとしないと不安定になるといった症状が挙げられます。

方向感覚の喪失

脳卒中によって一部の感覚が鈍くなることがあり、視覚や体の感覚を頼りにバランスを取ることが難しくなります。特に視覚情報や深部感覚(体内の位置を感知する感覚)をうまく利用できない場合があります。目を閉じるとバランスが取れない、動いている物を追うことができず、歩行中に周囲の状況を捉えにくいといった症状が挙げられます。

脳卒中とバランスの問題 〜リハビリテーションを通じた改善法〜

バランス能力へのアプローチ

脳卒中後のバランス障害を改善するためのリハビリテーションは、専門家によって個別のアプローチが行われます。リハビリの内容には、理学療法や作業療法を中心に、様々な方法が含まれます。具体的なリハビリの内容を以下に詳述します。

静的バランス訓練

静的バランスは、立ったままで体の位置を保持する能力を指します。脳卒中後は、足元や重心が不安定になるため、静的バランスの訓練が重要です。
主な訓練方法

・片足立ち訓練
最初は支えを使い、両足を肩幅に開いて立つ練習から始め、徐々に片足で立つ練習に進みます。目を開けている状態で行い、次第に目を閉じて行うことで、感覚をより活用することができます。

・安定した立位の練習
壁や平行棒を使って、しっかりと立つ訓練を行います。足の位置や膝の角度を意識し、重心が安定する感覚をつかむことが重要です。

・立ち上がり訓練
立ち上がり動作というのは筋肉の使い方や素早い重心移動など、簡単に行っているようで案外高度な運動になるのです。特に脳卒中後では多くの方が、非麻痺側に体重を乗せて立ち上がり動作を行うため、重心がどうしても偏ってしまいがちです。

今回紹介する立ち上がり練習は、普通に椅子に座って立ち座りを繰り返すだけでなく足の位置などにちょっとした工夫をすることで、重心の位置を正しくし、麻痺側にしっかり体重を乗せて立ち上がりが行えるようにするための練習になります。

脳卒中とバランスの問題 〜リハビリテーションを通じた改善法〜

ステップ1
:麻痺側の足は常に非麻痺側の後ろに置く
(非麻痺側の踵と土踏まずの間ぐらいに麻痺側のつま先がくるように)

ステップ2
:非麻痺側の足を少し前に出す
(麻痺側のつま先に非麻痺側の踵がくるように)

ステップ3
:非麻痺則の足をさらに前に出す
(麻痺側のつま先よりも手の指3つ分ほど非麻痺側の踵が前にくる)

ステップ4
:非麻痺則の足をさらに前に出す
(麻痺側のつま先よりも掌1つ分ほど非麻痺側の踵が前にくる)

ステップが上がるにつれて、麻痺側への荷重量が増加するため難易度が高くなります。一つずつクリアしていきましょう。

動的バランス訓練

動的バランスは、歩行や動きながらバランスを取る能力です。脳卒中後は歩行や動作時のバランスが取れなくなることが多いため、この訓練が重要です。

主な訓練方法
・歩行訓練
歩行中の姿勢や足の置き方を意識しながら、歩く練習を行います。初期段階では歩行器や杖を使い、徐々に支えなしで歩行できるように進めます。遅い歩き方や速い歩き方の両方で歩行を行い、スムーズにバランスを保ちながら歩けるように練習します。

・ステップ運動
脳卒中患者は、歩行中に足が引きずることが多いです。これを改善するため、足を前に出すステップ運動を繰り返し行います。不安定な面(例えば、バランスボードや不安定なマット)での歩行訓練を行うことで、足元の不安定さを克服します。

脳卒中とバランスの問題 〜リハビリテーションを通じた改善法〜

体幹の強化訓練

体幹(腹筋や背筋)を強化することは、バランスの維持に不可欠です。体幹を強化することで、立位や歩行時に体が安定しやすくなります。体幹トレーニングを行うことで、身体のバランス能力の向上や転倒転落リスクの回避、歩行がしやすくなるという効果が得られます。体幹を鍛えることで安定性を保つことができるので、少ないエネルギー量で動くことが可能です。また、体幹を早く動かす運動は麻痺患者の歩行速度向上につながる有効な方法であることがわかりました。体幹トレーニングを行うことで、負担がかかりやすい麻痺患者が効率のいい身体の動かし方を覚えることは、日常的に必要なバランス能力になります。

主な訓練方法
・体幹トレーニング(座位)
座った状態で、背骨をまっすぐに保ち、体幹を意識して片脚を少し持ち上げた状態で保持します。鏡の前で行うと身体の傾きなどに注意することができます。

脳卒中とバランスの問題 〜リハビリテーションを通じた改善法〜
・ドローイン
仰向けの姿勢で鼻から息を吸った後にゆっくり息を吐きながら、お腹をへこませていきます。腹筋の深層部を鍛えることができます。

脳卒中とバランスの問題 〜リハビリテーションを通じた改善法〜

視覚と触覚の活用

視覚や触覚(足の裏の感覚)を使って、バランスを取るための訓練を行います。脳卒中後、視覚や触覚の情報処理に問題が生じることがあるため、これらの感覚を最大限に活用できるようにします。

主な訓練方法
・目を閉じてのバランス訓練
自分の身体の位置や動きを感じる感覚を養い、姿勢やバランスの保持につなげていきます。

・異なる感覚を使う訓練
裸足での歩行やバランスマットを使いながら足裏の感覚を刺激するリハビリを行います。

脳卒中とバランスの問題 〜リハビリテーションを通じた改善法〜

まとめ

脳卒中後のバランスに対するリハビリでは、転倒予防と歩行の安定を獲得することを目指します。そのためにバランスを向上できるよう、視覚・触覚・深部感覚を統合してリハビリを進めていきます。

その後、実際に生活動作を想定した動きの確認や家屋環境の見直しなどを行うことも重要になってきます。これまで紹介した訓練を継続していくことがカギで、毎日の小さな積み重ねが安定した歩行につながります。無理をせず、自分のペースで継続していきましょう。不明な点は担当の療法士やリハビリZONE岐阜にお気軽にご相談ください。

 

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