脳卒中のこと
2023.09.01
【医師が解説】 脳梗塞・脳出血後に通う自費リハビリ施設とは? 〜施設選びのポイント3選 (応用編)〜
脳梗塞・脳出血後のリハビリ施設選びのポイント3選 (応用編)
勤務医として大学病院で働きながら自費リハビリ施設の経営に携わり、医療と自費リハビリの実情や裏側も知る現役医師が自費リハビリ施設選びのポイントについてわかりやすく、かつ詳細にお教えします!今回は応用編です。基礎編をご覧になっていない方は、是非こちらも参考になさってください。
施設選びのポイント3選 (応用編)
1. リハビリの結果
<ポイント>
利用者の満足度はその施設を映す鏡である。リハビリの結果・利用者の声を公表している施設はオススメ!
自費か保険診療かに関わらず、リハビリを行った後にどのような変化が得られたか(=結果)は、その施設・治療者(主に療法士)を評価する上で重要なポイントであることに皆さん異論はないと思います。多くの場合は治療者にとって良い結果=利用者さんにとっても良い結果なのですが、治療者・ご家族・患者さん自身など、それぞれの立場によってもたらされた変化に対する感じ方や満足度が異なることも決して珍しくありません。治療者が「リハビリの効果が良く出ていて改善できたな」と思っていても、利用者さん自身の満足度は思いの外、低かったりすることがあるのです。
このギャップが生じる理由として、治療者はリハビリ前後にもたらされた変化を、関節が動く範囲(可動域)や握力、筋力、姿勢などの客観的な指標で評価を行うのに対し、利用者さんの満足度はご自身の身体の使いやすさや痛みの改善の程度など、主観的な要素で捉えるため、両者で評価の軸が異なることが考えられます。また、治療者からみて改善が必要と思うポイントと利用者さんが実際の生活の中で困っておられるポイントというのは案外違ったりするものなのです。この治療者と利用者のギャップを埋める作業がカウンセリングです。カウンセリングは、治療者と利用者が直接顔を合わせ、利用者が遠慮することなく自分のなりたい姿やリハビリをするにあたっての思いを表現し、それを治療者が受け止めてリハビリに落とし込むという重要なプロセスです。保険診療で行われるリハビリでは、基本的に医師の指示のもとに治療が行われるため、以下のプロセスを経る必要があります。
利用者が自分自身の困っていることを医師に伝える⇨医師が診察・診断をしてその結果をもとに療法士に指示を出す⇨その指示を治療者が的確に把握する⇨利用者へとリハビリサービスを提供する
この伝言ゲームのような過程をすべてクリアして利用者が求めていることが治療として提供されるのです。また、リハビリを行うことができる時間も1単位20分と制限があるため、実際の治療者である療法士と利用者が密なコミュニケーションをとるのは難しいという問題があります。回数を重ねるごとに利用者に対する理解度が深まる可能性はありますが、途中でリハビリの担当者が変わってしまうことも決して珍しくありません。
一方で自費リハビリでは1人の利用者に対して1人の治療者が最初から最後まで一貫して担当することが多いため、リハビリを開始する上で重要なカウンセリングの部分から治療者と直接コミュニケーションをとることができます。保険で行うリハビリのように他者が介在することがないため、自分の思いをダイレクトに治療者に伝えることができるのです。また、リハビリを行う時間も通常1回あたり60~120分と長く、通う期間も2~6ヶ月以上と長期に渡るため、自然とコミュニケーションの量も多くなり、利用者のことをより深く理解してもらうことが可能です。ですから、自費リハビリ施設が、関節の可動域(動く範囲)がこんなによくなりました!などと宣伝していても、利用者が満足していなければ、(少し厳しい言い方をすれば)それは治療者の自己満足でしかないのです。リハビリを行うにあたり、事前に利用者のニーズを十分に汲み取っていれば、客観的な改善が利用者の満足にもつながっているはずなのです。利用者の満足度と治療者の満足感が解離している施設というのは、治療者の腕はいいかもしれないが、利用者の立場に立って治療が行えていない可能性があります。
そのため、自費リハビリ施設選びの際にはホームページなどで利用者の声や満足度が多く公開されているような施設や口コミの多い施設を候補に入れるのが良いかもしれません。結果を公表している施設は信頼できますよね。きっとそのような施設は利用者の立場にたったリハビリ計画の立案や改善ポイントの絞り込みをしてくれることでしょう。症状や目標は人それぞれですが、利用者目線のリハビリを提供する施設はきっとあなたに良い変化をもたらしてくれると思います。インターネットによる検索が普及した現在では当たり前になっている事かもしれませんが、利用者の評価を参考にすることは、自費リハビリ施設選びではとても大切だと考えます。
2. 自主トレーニングの指導
<ポイント>
自主トレーニングは効果的なリハビリのために欠かすことのできない重要な要素です。施術をするだけでなく自主トレーニングもしっかり指導する施設がオススメです!
リハビリというのは治療者が施術をしたり、機能訓練を行なって運動を反復したりすることで身体に変化をもたらすことを目指します。その変化はリハビリの直後に最大化されるのが一般的で、時間の経過とともにリハビリで獲得された変化は小さくなり、次第に元の状態に戻ってしまうことが多くあります。そのため、リハビリというのは1回で完結することはなく、定期的に行うことが推奨されるのです。特にリハビリを開始してしばらくの間は、身体の状態が元に戻りやすいため間隔をあけすぎない事が望ましいと考えられています。現実的に考えて週に1~2回のリハビリをできれば良いペースだといえるでしょう。リハビリを継続していると身体の状態が「良くなって→少し戻って→また良くなって→少し戻って」といった感じで、一歩進んで半歩下がるようなサイクルを繰り返しながら、次第に「良い身体の状態」が維持しやすくなり身体に定着してきます。この良い状態をより効果的に引き出すためには、リハビリだけに頼るのではなく自主トレーニングも並行して行う事が重要です。そのため、自費リハビリ施設を選ぶ際にはリハビリの内容はもちろんのこと、自主トレーニングに関連するサポートについてチェックするのが良いでしょう。自主トレーニングといっても多くの方は何をすれば良いのかわからないと思いますし、せっかく貴重な時間を割くならば効率的なトレーニングをしたいですよね。必要なトレーニングは目的によって大きく異なります。同じ目的であっても個人差がありますし、同じ利用者さんでもリハビリを開始してからどれくらい時間が経過しているか、身体の状況がどうなっているか、などによっても徐々に変化していくため、万人にすべてのフェーズで共通するトレーニング方法というのは存在しないのです。そのため、リハビリの効果を持続するための自主トレーニングをどのように指導してくれるのかについて調べたり、体験に行って確認したりしましょう。その場で自主トレ方法についての指導を受けるだけでは、自宅に戻ったらやり方を忘れてしまったり、正しいやり方が身に付かなかったりする事があります。そのため、何か資料が用意されていたり、オリジナルの自主トレメニューを組んで提供してくれたり、YouTubeなどのツールを使って動画で復習できる環境が用意されていたりする施設は自主トレーニングの重要性を認識していて、利用者に寄り添った良い施設と考えられるのではないでしょうか。
3. リハビリの継続率
<ポイント>
リハビリ継続率はその施設の実力を推し量るよい指標。一度契約した利用者がもう一度契約したと思うような施設はきっと魅力があるはずなのでオススメ!
通常、自費リハビリ施設では10~30回程度のリハビリをセットにして、回数券形式での販売が行われています。これは、前述のように一定のリハビリ効果を得るためには定期的にリハビリを行い、身体の良い状態を定着させていく必要があるためです。1回あたりのリハビリ料金は適正価格でも、回数券での販売になると利用者が1回にまとめて支払う金額が高額になるため、その点については賛否両論あるようです。しかし、個人的には改善の過程の途中で(そのまま継続すれば良くなる見込みがあるのに)効果に疑問をもってやめてしまったり、何回リハビリをすれば良いのか見通しが立たないままリハビリを漫然と継続したりするよりは、回数を決めて目標を設定し腰を据えてリハビリをしていくのは合理的であると考えます。また、リハビリに納得できなかった場合には料金を返還する全額返金制度を設けている施設もあるため、そのような施設を利用すれば回数券を前払いすることについての諸問題は解決されると思います。
いずれにせよ、ひとつのリハビリプログラムを終えた時点で一定の成果が得られる事が予想されますが、利用者はここでリハビリを継続するかどうか(契約を更新するか否か)について判断をしなければなりません。その時点では以下のいずれかの状態になっている事が予想されます。
(1)契約回数消化時点で目標を達成している
①自主トレも理解し取り組めているので卒業
②良い状態にはなっているが身体のメンテナンスのため間隔をあけて定期的に利用継続
(2)契約回数消化時点で改善がみられるが目標には到達していない
①もう少しで目標達成が期待できるため継続
②効果は感じられたが継続するほどの価値は感じない
(3)契約回数消化時点で期待したほどの効果が得られなかった
1番理想的なのはリハビリを卒業できることです。残念ながら期待したほどの効果が得られなかったと感じた場合は、リハビリをするにあたってのアプローチ(リハビリの内容や改善すべきポイントが間違っているなど)や療法士の技術そのものに問題があったり、リハビリ前の重症度が高すぎたり、利用者さんの期待値と実際にもたらす事ができる改善の程度の間に乖離があるなどの可能性が考えられますが、いずれにせよ契約を更新することはほぼないでしょう。現実的には、改善が得られたためその状態を維持するためにメンテナンス目的で利用を継続したり、もう少しリハビリを続けることで良い結果が出そうなのでリハビリを継続したりするパターンだと思われます。契約を更新して利用を継続しようと思う方が多いということはその施設に対する満足度が高いことを示していると考えられます。契約更新率を数字で公表している施設は多くはないと思いますので、体験に行ったり問い合わせをしたりした時に、1回のプログラムで卒業に至る方の割合や、契約を更新してリハビリを継続する方の割合などを確認してみると良いでしょう。何割以上なら良いという絶対的な指標はありませんが、少なくとも半数〜2/3ぐらいの方が継続したいと思うような施設でリハビリを受けられると良いですね。
いかがでしたか?今回は自費リハビリ施設選びで悩んでおられる方に向けて、脳梗塞・脳出血後のリハビリ施設選びのポイント3選 ( 応用編 )をお届けしました。過去のブログに基礎編もありますので、まだの方は是非一度目を通してみてください。
今回は、はじめて施設選びをする時にはなかなか気づかないような点について記載しましたので皆さまのお役に立つことができれば幸いです。リハビリZONE岐阜ではこれらの条件を高いレベルで達成していると自負しております。是非一度体験にいらしてください。
リハビリZONE岐阜では、『リハビリで笑顔を再生!!』を合言葉に、ボイタ法による施術とHAL®︎を用いた機能訓練を中心とした自費リハビリを行っております。これまでにリハビリで思うような結果が出ず諦めていた方、現在身体のことでお悩みのある方、もっとリハビリをしたいとお考えの方など、様々なニーズにお応えするための手段を多数ご用意しております。是非一度、体験リハビリを受けてみてください!スタッフ一同心よりお待ちしております。
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