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脳卒中のこと

2024.06.23

脳卒中後のリハビリはいつからはじめるの?

脳梗塞後のリハビリはいつからはじめるの?

はじめに

脳卒中後のリハビリテーションは、日常生活や社会復帰に向けて欠かせません。脳卒中になると、手足の麻痺が起きたり、言葉を理解したり話したりしにくくなるだけでなく、認知機能が低下してしまったり、時には感情も不安定になるなど、様々な影響があります。そのため、適切なタイミングで適切な内容のリハビリを行う必要があるのです。この記事では脳卒中後のリハビリ開始の最適なタイミングや、その根拠について深掘りしてみます。

脳卒中について

脳卒中の種類
脳卒中は血管が詰まるタイプである脳梗塞と血管が破れるタイプである脳出血に大別されます。脳梗塞は脳卒中全体の約87%を占め、血の塊である血栓が脳の血管を詰まらせることで、脳への血流が阻害されて発症します。脳出血は高血圧などが理由で、突然血管が破裂して脳内や脳周辺に出血が起こることで発症します。脳卒中の種類によってもリハビリの内容などは異なりますが、いずれも介入のタイミングが重要です。

脳卒中の影響
脳卒中の後遺症はさまざまで、言語能力、運動能力、認知機能、情緒の安定などに影響を及ぼします。脳卒中後に一般的にみられる障害としては、片麻痺(体の片側だけの麻痺)、失語症(話すことや言葉を理解することが困難な状態)、記憶障害や論理的に物事を考えることができなくなるなどの認知機能障害があります。
脳梗塞界隈をわかりやすく解説 (1)脳梗塞ってどんな病気?

リハビリのタイミング

◉ゴールデンタイムの早期リハビリ
多くの研究で「ゴールデンタイム」と呼ばれる発症後早期のリハビリテーションは、脳卒中からの回復のために重要であると言われています。もちろんリハビリだけでなく、薬物療法などの治療も重要なのですが、脳卒中後24~48時間以内にリハビリを開始することで、回復の度合いを高めることができることがわかっています。なぜなら、早期介入は、脳の可塑性を最大限に利用することができるからなのです。

※脳の可塑性とは?
組織(脳細胞)が損傷した場合、損傷部位を補って新たに神経のネットワークを再編成し、神経結合を作り直す能力のことです。この能力は脳卒中の直後から高まっているため、早期にリハビリを行うことで、この能力を最大限に利用することが可能となります。

リハビリの目的

合併症の予防
脳卒中発症早期からリハビリをはじめることで、深部静脈血栓症(DVT)、肺炎、褥瘡などの合併症を予防することができます。これらの合併症は長期間寝たきりの状態でいると生じるリスクが高くなることが知られていて、万が一問題が起きた際には脳卒中からの回復が遅れてしまう原因となります。

機能回復
初期のリハビリでは、ベッドの上で姿勢を変えたり、座った状態で姿勢を保持したりするなどの基本的な動作を行います。麻痺の程度が軽度であればご自身で寝た状態から起き上がって座る練習や、立つ・歩くなどの動作訓練を行うこともあります。まずは生活していく上で必要最低限の、基本的な機能の回復に重点をおいてリハビリをしていきます。早期に機能回復すれば、運動能力や生活の自立度の向上など、長期的な視点でみた際にも改善が期待できます。

急性期のリハビリ

脳卒中回復の急性期は、脳卒中発症後24時間から数週間のことをいいます。この時期のリハビリテーションは集中的に行われ、身体機能と認知機能の回復を最大限に高めることを目指していきます。一般的に、これらのリハビリは急性期の病院で行われ、理学療法士や作業療法士がリハビリを担当します。

【理学療法士が解説】脳卒中後のリハビリ、発症から時間が経っていても効果はある?

集学的アプローチ
主治医、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、看護師などでチームを結成して、全身の状態や麻痺の程度に応じて、それぞれの患者さんに合ったリハビリテーション計画を作成します。様々な職種の人が協力して治療に携わることで、脳卒中患者さんの多様なニーズに対応することができるのです。

課題別訓練
急性期のリハビリテーションでは、多くの場合、作業に特化したトレーニングを行います。例えば、日常生活の中で必要と思われるような動作(物をつかむ→移動させる→離す等)を意識した練習を繰り返し行い、復帰にむけて必要な運動能力や認知機能の回復を目指します。

早期評価
リハビリの効果を数値化するのは難しいのですが、リハビリをしたことでどの程度の効果が得られたかを評価し、フィードバックをかけることは重要です。漫然とリハビリをするのではなく、リハビリ開始後早期に評価をして、リハビリによって改善したポイント、もっと改善すべきポイントなどを整理します。それによってリハビリの内容がより患者さんそれぞれのニーズに合ったものとなり、効果が最大限に発揮されることが期待できます。

亜急性期(回復期)リハビリ

亜急性期というのは通常、脳卒中発症後数週間から6ヵ月の時期をいいます。この時期のリハビリは、急性期で得られた成果を基に、より複雑な作業をできるようにしたり、日常の動作を取り戻したりすることに重点をおいて行われます。急性期と同様に、理学療法、作業療法、言語療法などの集中的な治療を継続していきます。

生活への適応
リハビリテーションでは、失ってしまった機能を回復することだけでなく、生活の自立度を高めるために現在の身体機能で生活に適応できるような技術の習得や、補助器具を使って生活レベルを上げていくための練習などを行うこともあります。例えば、脳卒中患者さんでは、杖や歩行器、装具などの日常生活を送るための器具や移動補助具の使い方を学ぶことで生活のレベルを上げていきます。

心理的支援
精神的・心理的なサポートは、亜急性期においては極めて重要です。脳卒中患者さんは、後遺症によってこれまで当たり前のようにできていた事ができなくなってしまい、今後の生活に対する不安を抱えています。また、入院や治療期間が長くなることでのストレスを抱えていたり、はじめの頃はどんどんと良くなっていた症状の改善度合いがゆっくりになっていくことで、今後の先行きに不安を感じてフラストレーションが溜まる状況もあります。それらに対してカウンセリングを受けたり、同じような経験をした人をサポートする支援グループに参加したりすることで対処法を知る事ができます。

慢性期(生活期)のリハビリ

脳卒中回復の慢性期は、脳卒中発症後6ヵ月を超えて続きます。生活期とも呼ばれ、リハビリでは日常生活にいかに適応していくかが最大の課題となります。場合によっては麻痺の回復が頭打ちになることもありますが、機能を維持し、さらに向上させるために、リハビリを継続することは不可欠です。

【理学療法士が解説】脳卒中後のリハビリ、発症から時間が経っていても効果はある?

機能の維持
慢性期のリハビリテーションでは、初期の段階での回復を維持するための維持療法に重点を置くことが多いです。維持療法には機能低下を最小限に留め、日々の生活に適応するための定期的な理学療法が含まれます。

社会への復帰
社会への復帰に重点を置き、以前の仕事あるいは新たな仕事への復帰、社会活動への参加、趣味の再開などを支援していきます。仕事に復帰するための職業リハビリテーションやなどが行われることもあります。

長期目標
リハビリテーションの目標は定期的に見直す必要があり、目標設定はチャレンジする意欲がかきたてられ、かつ実現可能な適切なものでなければなりません。目標は高すぎても低すぎてもダメなのです。長期的な目標には、自立度の向上、生活の質の改善、二次的合併症の予防などの要素を含むように設定します。

リハビリのタイミングに影響する因子

脳卒中の重症度
脳卒中の重症度はリハビリの時期を決定する上で大きく影響します。軽度の脳卒中患者さんであれば、すぐにリハビリを開始できますが、命に関わるような重度の脳卒中の患者さんでは集中的なリハビリを開始する前に全身状態の安定化を図る必要があります。最近では集中治療室(ICU)にいる時からリハビリ介入が行われることも当たり前になってきています。

全身の状態
リハビリテーションを開始する前に、患者さんの状態が安定していなければなりません。高血圧、感染症、心臓疾患などがあると、患者さんが安全にリハビリテーション活動に参加することが難しくなってしまうため、それらの要素を適切に管理する必要があります。

個別評価
リハビリ開始の適切なタイミングを判断するためには、多職種による個別の評価が欠かせません。この評価では、患者さんの年齢、全身の状態、認知機能、脳卒中発症前の状態など、様々な要素を検証します。

適切な時期にリハビリを行う理由

回復効果を高める
適切な時期にリハビリを開始することで、より良い結果につながります。特に、脳卒中発症後早期の介入は身体機能だけでなく、認知機能や心理的な部分においても著しい改善につながるため、患者さんが自立した生活を取り戻すことができる可能性を高めます。

合併症を減らす
早期に身体や手足を動かしていくこと(モビライゼーション)や機能訓練を行っていく事は、筋肉が萎縮してしまったり、関節が固まってしまったり、床ずれ(褥瘡)ができたりするなどの二次的な合併症の予防に役立ちます。これらの合併症が起きてしまうと、脳卒中からの回復の妨げとなり、リハビリ期間が長引く原因となってしまいます。

心理的な効果
早期にリハビリを開始することで、患者さん自身が一歩ずつ改善に向かっていることを実感し、未来に希望が芽生えるなど、心理的なメリットが得られます。早期に改善を実感できた患者さんは、高いモチベーションを維持してリハビリテーションプログラムに取り組み続けることができるようになります。

費用対効果
早期に効果的なリハビリを行うことで、一生のうちで脳卒中治療にかかる費用を削減することができます。合併症を最小限に抑え、長期にわたり療養する必要性を減らすことで、大幅に医療コストを削減できます。これは患者さん自身の負担を減らすことはもちろん、国の医療費が高騰している問題にもプラスに働く可能性があります。

自費リハビリの役割

自費リハビリは、主に回復期〜慢性期(生活期)において、ご利用いただくサービスです。現在の医療・介護保険制度の元では、初期(急性期)には質・量ともに十分なリハビリを受けることができます。しかしながら、次第にリハビリを受けられる量は減っていってしまいます。特に回復期病院から自宅などに退院された後には介護保険を利用される方が多いのですが、介護保険下でのリハビリは機能向上を目指すためには十分とは言えません。そこで、保険の制度に縛られることなく、十分な質と量のリハビリを受けられるのが自費でのリハビリです。これまでにお伝えしてきたように、適切な時期に個々の状態にあったリハビリを行うことで、身体機能が向上して日常生活への復帰や社会復帰が可能となるだけでなく、合併症を予防したり、心理的にも健康でいたりすることが可能となるのです。そのような理由から、自費リハビリというのは脳卒中後の患者さんにとって非常に有用な手段なのです。
リハビリZONE岐阜内の施術ベッド

まとめ

脳卒中後のリハビリは、脳の可塑性を利用し、回復の成果を最大化するために、できるだけ早期に、一般的には脳卒中後24~48時間以内に開始することが理想的です。リハビリの開始時期は、脳卒中の重症度、医学的安定性、個別評価などの要因に影響されため、一概には言えませんが、早期からのリハビリテーションは、身体的・認知的回復を促進するだけでなく、二次的合併症を予防し、心理的効果をもたらし、費用対効果も高いことがわかっています。リハビリテーションの内容を個々の状態に対して最適化し、生活の質を向上させるためには、脳卒中後の患者さんそれぞれのニーズに合わせたアプローチが不可欠です。

リハビリZONE岐阜では、『リハビリで笑顔を再生!!』を合言葉に、ボイタ法による施術とHAL®︎を用いた機能訓練を中心とした自費リハビリを行っております。これまでにリハビリで思うような結果が出ず諦めていた方、現在身体のことでお悩みのある方、もっとリハビリをしたいとお考えの方など、様々なニーズにお応えするための手段を多数ご用意しております。是非一度、体験リハビリを受けてみてください!スタッフ一同心よりお待ちしております。

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